1976年、大阪戦争と呼ばれる抗争事件で亡くなった大日本正義団(1990年解散)の吉田芳弘会長の葬儀に出席する参列者をボディーチェックする警察官(時事通信フォト)

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直葬するしかない

 こうなると困るのは暴力団組織だ。K氏も関係団体の組長が亡くなった時、この問題にぶち当たった。病院で亡くなった組長の遺体を運びだせる場所がなかったのである。「組織としての葬儀は無理だとわかっていたので、家族葬扱いでやってくれと頼んでいたらしい。それで受けた葬儀屋が葬儀場に遺体を運び、安置しておく手はずだった、だが直前になって葬儀屋が断ってきたと関係団体の組員から連絡があった。葬儀を出すのは諦めて、直葬するしかないと話した」とK氏。直葬とは通夜や告別式を行わず、火葬のみを行う葬儀のことだ。

「火葬場は暴力団組員かどうか関係なく、葬儀を受け付ける。日本では火葬しなければ埋葬できないからね。だけど火葬場が予想以上に混んでいて」(K氏)。ここ数年、K氏が言うように火葬場はどこも混んでいる。亡くなったからといって、すぐに火葬できず、1週間ほど待つこともざらになった。「直葬することになったが火葬場は順番待ち。順番がくるまで、遺体を安置しておく場所を探さなくてはならなくなったが、これが大変だった」とK氏は話す。

 いくらドライアイスを詰めたといっても、時間が経てば遺体は腐ってくる。葬儀場などでは遺体を保存するための設備もあるだろうが、前述のような事情で葬儀場には頼めない。だからといって、事務所に遺体を搬入し、置いておくこともできない。困ったK氏は古くから懇意にしていた多目的ホールや貸し会議室を経営する知人に連絡、空いていた会議室に数日、置かせてもらうことにしたという。そうして組長は無事に荼毘にふされた。

「葬儀が出せないのはまだしも、火葬までの間、どこに遺体を置いておけばいいのか。うかうか死んでもいられない」(K氏)というのが、今、暴力団組員が置かれている現実らしい。

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