ライフ

認知症を様々な見地から取材、斉藤直子さんインタビュー「診断されて大変だ!と思うか、しょうがないと思うかで大きく違う」

斉藤直子さん/『151人の名医・介護プロが教える 認知症大全』

『151人の名医・介護プロが教える 認知症大全』の著者、斉藤直子さんにインタビュー

【著者インタビュー】斉藤直子さん/『151人の名医・介護プロが教える 認知症大全』/小学館/2200円

【本の内容】
 女性セブンで2017〜2021年に連載し好評を博した「明日はわが身の伴走介護」を再編集し、新規取材を加えた完全版。3人の専門家が監修し、中に出てくる認知症のプロは総勢151名。第1章「認知症診断と基礎知識」から第8章「終活」まで、この一冊で認知症の症状、介護をする上での困りごとと対処法、支援、生き甲斐の見つけ方など、認知症になった母親を現在も介護している著者の取材により、細やかに記されている。

専門書では取り上げない、専門家の肌実感も入れた

 認知症について知りたい、と思ったとき、様々な角度から疑問にこたえてくれる一冊である。巻末のページに掲載された、話を聞いた医師や介護職など認知症の専門家の名前の多さに圧倒される。その数151人。

『女性セブン』で141回続いた人気連載「明日はわが身の伴走介護」を、認知症をテーマに再編集し、新規取材もして本にまとめた。

 斉藤さん自身、この11月で89歳になるお母さんが認知症で、母に寄り添いながら、これから来る自分の老いとも向き合う取材になった。

「最初は『まあ10回ぐらい高齢者のことを取材してみるか』という感じで始めたんです。私自身、ライターとして仕事しながら、子どもは高校受験、そこに親の介護が重なるという経験をして、次の自分の老いへの興味がどんどん広がっていって、気づいたら4年近く連載が続きました」

 本の帯に「古い介護観をアップデート!」とあるように、よくも悪くも、認知症をめぐる状況は様々に変わってきた。

 たとえばかつては「7人に1人が(認知症に)なる時代」と言っていたのが、2025年には65歳以上の「5人に1人」(予備軍も含めると4人に1人)になるそう。一方で、病気の進行は基本的にゆっくりであることなどもわかり、周囲が助け、本人が諦めないことで、ある程度、日常生活を続けられることもわかってきている。

 この本では、高齢者医療の第一人者や介護職として現場の第一線に立つ人たちに、認知症の症状について、悪化させない接し方、お金や住まいをどうしたらいいか、受けられる様々なサービスについて、丁寧に取材されている。

「錚々たるメンバーが取材に応じてくださっています。メディアでは、認知症の極端な症状や、老老介護の大変さを強調することも多いという印象を持たれているようで、最初は『女性週刊誌が取材に来たぞ』『大真面目に、高齢者の体や介護について聞きに来たぞ』と驚かれたりもしました」

 最初に担当編集者から言われたのが「役所のパンフレットみたいにしないでね」だったそうで、介護の当事者でもある斉藤さんならではの「認知症ってどういうこと?」「本人は、周囲は、どうしたらいい?」という疑問に、それぞれの専門家が具体的に答えていくものになった。

「週刊誌なので、ふつうの読者が、たとえば銀行の待ち時間に手に取って、毎週ちょこっと情報を得られるように、というのは意識していました。専門書ではたぶん取り上げないような、肌実感として専門家が思っていることなども入れています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン