頭にホッチキス30針……。秋田県北秋田市の市街地でクマに襲われたという湊屋さん
罠にかかったクマの様子は
NEWSポストセブン記者は、実際に高橋氏が罠を仕掛けている場所を案内してもらった。そこは市街地である湯沢駅から車で20分ほどの距離で、山里と民家の境のエリアだった。罠は直径80cmほど、奥行き2mほどの土管状になっており、中に酒粕や米ぬか、はちみつを混ぜた発酵性のエサを入れてクマをおびき寄せるという。
恐る恐る中を覗くと、ちょうど今朝クマが罠にかかったようで、駆除した際の血痕が残っていた。人里に、日常的にクマが出没していることがありありと伝わってきた。
湯沢市内のリンゴ農園を訪れたところ、鼻を突く異臭に気づいた。辺りを見渡すと、食い散らかされたリンゴの破片が散らばっているだけでなく、クマの糞が散在していた。なかには“半生状態”のものまである。リンゴ農園の経営者の話。
「半生は1~2日前の糞です。大きさで大人のクマか子グマかがわかります」
改めてリンゴの木を確認すると、ところどころ無残に枝が折れて、リンゴが不自然な状態で垂れ、地面にもかけらが散らばっていた。
「芯だけ残して上手に食べているでしょう。11月半ばに収穫するのに、あと少しというところでクマに荒らされると、今まで何をしてきたのかとやりきれない気持ちになります。折れた枝を元通りにするのにも、数年はかかりますからね」(農園経営者)
大音量でラジオを流したり、ロケット花火で威嚇したりと対策はしているが、クマは学習能力が高く、すぐに効果がなくなるという。なすすべもなく、食い散らかされたリンゴと糞の異臭が入り混じった匂いが、しばらく鼻から離れなかった。