「インフレ増税」で手取りが減るカラクリ
別掲の図を見ていただきたい。計算をわかりやすくするために課税最低限(各種控除の合計)が100万円、所得税率10%とした。
給料(年収)500万円のサラリーマンA氏の所得税額は、40万円。税引き後の可処分所得(手取り)は460万円だ。
それが次の年に物価と賃金がともに10%上昇して給料が550万円にアップした場合、「課税最低限」が据え置かれると、所得税額は45万円となる。
給料は10%アップなのに、所得税は40万円から45万円に12.5%も増える。これがインフレ増税のカラクリで、増えた2.5%分(図の例では1万円)が増税額だ。
これは最も悪質な増税
サラリーマンの可処分所得も減る。
図の例で言えば、賃上げ後の可処分所得の505万円を物価上昇率(10%)で割り戻すと実質手取りは459万円となり、賃上げ前の460万円より増税分だけ少なくなる。
結果、国民は実質手取りが減って生活が苦しくなり、国は賃金・物価上昇率以上に税収が増える。
もし、財務省が各種控除の金額など課税最低限を同じだけ引き上げていれば、所得税額も10%アップにとどまり、こうした増税にはならない。