朝ドラ『ブギウギ』で放送された、歌劇団によるラインダンスが大きな反響を呼んでいる。物語の舞台となる大阪の梅丸少女歌劇団(USK)には、ドラマのモデルとなった笠置シヅ子も在籍したOSK日本歌劇団の現役劇団員たちも出演。そうしたなか、ヒロイン・福来スズ子を演じる趣里の奮闘ぶりも際立つ──。【全3回の第3回。第1回から読む】
OSKの劇団員とともに奮闘したのは、USKの娘役・リリー白川を演じる清水くるみ、男役の桜庭和希を演じる片山友希、実力派の男役・秋山美月を演じる伊原六花といった若手女優たちだ。片山は現場での奮闘をこう語っている。
「ダンスはOSK日本歌劇団のみなさんに1から10まで丁寧に教えていただきましたが、私より教える側のみなさんのほうが大変だったんじゃないかと思います。(中略)歌劇シーンの撮影は、テンションが上がってとても楽しかったです! ハットのかぶり方やステッキの持ち方など、男役としてかっこよく見えるコツもOSKのみなさんにご指導いただきました」(『ブギウギ』サイトのインタビュー)
OSK日本歌劇団の京我りくが語る。
「女優さんたちは忙しいスケジュールの合間を縫って稽古や撮影に励んでおられました。清水さんは大阪の舞台に出演中で、たった1日の休演日に撮影に来ました。伊原さんもテレビ番組でマラソンを走った翌日にダンスの撮影をしていた。女優さんたちはみなさん、振り付けを覚えるのがとにかく早くて、桜パラソルを使う『桜咲く国』という曲でも『家でパラソルを開きながら練習した』とおっしゃっていて、プロ意識の高さを感じました」
そして何と言ってもドラマの大黒柱はどこまでも愛くるしい趣里だ。
「趣里さんはドラマの役柄と同様、現場では早朝でも夜遅くでも常に明るくニコニコしていました。出演者やスタッフの名前もすぐに全員覚えてくれたし、OSKメンバーのプロフィールが載っている本を読みこんで『出身地は〇〇ですよね』『〇〇はあれがおいしいですね』と気さくに声をかけてもらいました」(同前)
『ブギウギ』の制作統括を務める福岡利武氏もヒロイン・趣里を高く評価する。
「歌や踊りの稽古に大阪弁の練習など大変なことが多くあったと思いますが、明るく前向きに取り組んで、趣里さんをはじめ劇団員を演じた方々のおかげであのようなステージが完成しました。趣里さんは日常生活のお芝居で見せる何気ない仕草や表情が本当に素晴らしく、ステージでは弾けるようなエネルギッシュさを感じます。スズ子がつらい時は見ている側もつらい気持ちになる、そんな愛されるヒロインを魅せてくれています」