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60代女性記者が語るホストクラブの虚しさ、姫扱いされるのは太客だけ、太客になっても「お金の話ばっか」

ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)

“オバ記者”こと野原広子がホストクラブの取材経験を振り返る(イメージ、時事通信フォト)

 ホストクラブにおける、高額な売掛金が問題視されている。新宿歌舞伎町では、業界団体を設立し、売掛金を全面禁止にする動きもあるというが、果たして実現できるのか──。ホストクラブの取材経験があるという、『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、ホストに関して感じていることを綴る。

 * * *
 あのぉ〜、つかぬことを伺いますが、ホストクラブに興味ありますか?

 一度くらいなら行ってみて、少女漫画の主人公みたいな美顔ホストから姫扱いされてみたいですか? シャンデリアの下でシャンパンタワーのつくる光に包まれたいですか?

 実はそう思っている女性って意外と多いんだよね。お堅めの職業に就いて積立預金をして子供の教育に熱心な優等生ママが、なんかの拍子に「夢だけど」と頬を赤らめて語るのを私は何度か聞いている。

 それで「野原さんは行ったこと、あるんでしょう?」と聞かれると、「まぁね〜」と言葉を濁す。だって、ホストに憧れている人に現実をつきつけるのもどうかと思うし、50を過ぎた彼女たちが「年齢制限とかあるんでしょ?」 などと身をよじったりする気持ちは痛いほどわかるもの。

 で、本当のところ、私がホストクラブやホストとその客に対してどう思っているかというと──「あんたら、何やってんの?」という違和感しかない。それは私が66才で、孫のようなホストから相手にされないだろうと思うからではなく、ライターになったばかりの22才のときに取材で行って以来、そう思ってる。

 だって、マスコミで話題になりだした店のトイレに『ホストの掟』という張り紙があって、「一、男を磨け」はともかく、「二、お客様はお金を連れてくる福の神と思え」「三、売掛金は1円単位まで回収しろ」だよ。トイレから出て、「あんなこと書いちゃっていいの?」と聞いたら、ナンバーワンホストは「まぁ、そういう世界ですから」とシレッ。

 その世界で遊ぶ器量もお財布も持ち合わせていない私は、淡々と取材をして記事を書いてオシマイ。二度とかかわらないだろうと思っていたら、バブル期に新宿歌舞伎町に事務所を開き、今度は“ご近所”として交流をしたの。

 深夜3時半過ぎに仲よしのキャバ嬢が缶ビールを提げてホストを連れてきたんだけど、そのホストの口から出る話題は福島の高校時代のことやら、両親が稲作農家をしていることやらドン臭い話と店のグチばかり。「向いてないよ。田舎帰れ」という私の言葉を受けて、「そうするかな」と言っているうちに彼は消息を絶った。そして、私も彼のことを忘れた。

 その次にホストにかかわったのは2000年前後のホストブームのときで、あの頃はしょっちゅうバラエティー番組でトップ争いするホストを取り上げていたのよね。そんなときよ。仕事仲間が「今月は800万円使った」と言い出したの。株で大儲けをしたんだって。それで「誕生日祝いをしてあげるから」と言われ、有名ホストクラブに連れて行ってくれた。

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