脅迫行為により「スプラトゥーン甲子園2023 全国決勝大会」開催の延期が決まった(「スプラトゥーン甲子園2023」公式サイトより)
仕事をしているいい年した大人が多い
インターネットコンテンツの制作を手掛けるプロダクション経営者からは「昨今はアニメとかゲームとか、声優以外もある」としてVTuberが挙がった。
「ただでさえ配信やSNSで荒れることもあるVTuber界隈ですが、リアルなイベントとなると大変みたいですよ。あちこち脅迫で延期とか、中止に追い込まれています」
教えていただいたが、直近だけでも脅迫メールの被害を受けたVTuberのイベントは11月30日から12月11日に開催予定だった『ぷろぽりす幸子展』、12月7日から27日に開催予定だった『渋谷をジャックせよ!2』、12月8日に開催予定だった『ぶいかふぇVol.15』とある。これらは立て続けに脅迫メールによって中止、もしくは延期となっている。会場の爆破や来場者の殺害、窃盗などおぞましい行為ばかりが並ぶ。
「本当に許せない行為です。これまでもこうした行為が止むことはありませんでした。まず逮捕されるというのに、なぜ脅迫メールを送るのか、理解に苦しみます」
近年の主だった脅迫事件を挙げると2019年8月、『ドラゴンクエストシリーズ』や『ファイナルファンタジーシリーズ』などゲームの開発販売などで知られるスクウェア・エニックスに「京都アニメーションの再現したろか」と脅迫メールを送った40歳の自営業の男が逮捕された。ゲームに負けて腹が立った、と供述している。
2020年の11月ごろ「関係者をマジで殺す」と同じくスクウェア・エニックスに対して脅迫メールを送った39歳の会社員の男が2021年2月に逮捕された。これもゲームに勝てないことでイライラしたことが理由だという。
2022年には『ソニックシリーズ』などのゲーム開発部門を抱えることで知られるセガサミーに「会社を放火し、社員をぶっ殺してやる」と脅迫メールを送った54歳の会社員の男が逮捕された。こちらもまた、ゲームに負けて悔しかったとのこと。
2023年にも陸上自衛隊の50代隊員が欲しいキャラクターが出ないからとゲーム運営会社に脅迫メールを送ったとして警察から連絡の上で停職処分となっている。
「ネットでは無職や子どもがやったんだろ、とか言われますが、私が知る限り仕事をしているいい年した大人が多かったように思います。もちろんごく一部ですよ、本当に一部、でもその一部の脅迫メールが大変な事態を引き起こすのです」
彼の言う通り脅迫メールを送るのはごくわずか、しかしイベントは関係者やファン、周辺住民など市民を守るためにも延期や中止にせざるを得ない。卑劣極まりないが、その代償は大きい。