報道の自由を訴える国際人権団体「国境なき記者団」はこのほど、2023年の年次報告書を発表した。2023年12月1日までの1年間で、世界で45人のジャーナリストが殺害され、521人が投獄、84人が行方不明になっており、54人が人質などに取られている。そのなかでも、中国ではジャーナリスト121人が投獄されており、「世界一のジャーナリストの監獄となっている」と明らかにした。
報告書によると、世界で殺害されたジャーナリストのほとんどがイスラエルとハマスの軍事衝突によるものだった。
一方、ジャーナリストの投獄については、中国は2022年に続いて世界一で、ミャンマー、ベラルーシ、ベトナムが中国に続いている。
中国での投獄者は、世界全体の521人のジャーナリストのうちの4分の1近くとなり、そのうち12人が香港、42人が新疆ウイグル自治区の刑務所に収監されている。
その収監者には、「香港のメディア王」といわれる黎智英(ジミー・ライ)元「リンゴ日報」社長、ウイグル人ジャーナリストで大学教授でもあるイルハム・トフティ氏、中国訪問中に逮捕された台湾の八旗文化出版社編集長の李延賀氏などが含まれている。
なかでも、中国湖北省武漢市在住だった市民活動家で弁護士の張展氏(40=女性)は2019年12月、世界に先駆けて、武漢市で新型コロナウイルスが流行していると報じたことで逮捕。2020年12月の裁判で、「公共秩序騒乱」の罪で懲役4年の判決を受け、現在も服役中だ。
人権活動家などの報告によると、張氏の体調は悪化の一途をたどり、体重は37kgと逮捕前から激減しているという。
また、中国の軍事・安全保障問題に関するスクープを連発していた香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の女性記者、陳敏莉(ミニー・チャン)氏(45)は2023年11月1日以降、出張先の北京で消息不明となっており、中国当局にスパイ容疑で拘束され取り調べを受けているとの情報も出ている。