「“先生はこんな表情も表紙にしちゃうんだ!”と驚きました」と水沢アキは語る(『GORO』1975年7月24日号)

「“先生はこんな表情も表紙にしちゃうんだ!”と驚きました」と水沢アキは語る(『GORO』1975年7月24日号)

 43歳の秘蔵カットは、『AKI MIZUSAWA 1975-2020』で初公開された。写真集のラストを飾るのは、65歳になった水沢のありのままの姿。これが篠山氏撮り下ろしによる、最後の作品となった。

「先生とは人生の節目、節目にいくつもの運命的なご縁で結ばれて、何か通じるものがあったんでしょうね。2020年のある日ふと、“これまで撮っていただいた写真を1冊にしておかなくちゃ”とひらめいたんです。未公開を含めた19歳から65歳の記録というコンセプトで写真集を作りませんかと、すぐ先生に会いに行きました。ラストは私の自宅での撮影です。満開の桜を背景にした、くつろいだ表情のカット。その日の中で、先生がいちばん気に入った1枚が使われています」

「人生をかけて女優であれ」

 篠山氏が撮り続けた写真は、どんな意味を持ったのか。水沢は「先生の作品がなかったら、きっと女優として終わっていた」と、語る。

「清純派や『連想ゲーム』の知的女優のイメージだけでいたら、脱皮のきっかけもなく、長続きはしなかったと思います。篠山先生が別の顔を世に出してくださったから、幅が広がって今がある。ここまで女優・水沢アキを作り上げてくださいました。

 先生は常に女優として敬意を表してくださり、19歳で出会った時から、呼び方は『水沢さん』。私に対し、どんな時も女優でいることを望まれていました。打ち合わせに普段着で行けば、女優の装いでいらっしゃいと言われましたし、人通りの多い屋外でのロケで私が通行人の方に頭を下げたら、それはこちらの仕事だから、って」

 篠山氏から“人生をかけて女優であれ”と矜持を学び、心に刻まれたその声は、折に触れて聞こえてくるという。年齢を重ね、女優としての終わりを意識することもあると胸中を吐露した水沢。だが弱気な気持ちが芽生えると必ず篠山氏の言葉が耳に響いて、「背筋をしゃんと伸ばしてくれる」と、空を見上げた。

取材/渡部美也

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