ジュニア選手に向ける厳しい眼差しはアカデミーを立ち上げてから7年間、一貫している。ジャンボは昨年も、セレクションを受ける選手たちをこう評していた。
「1期生と比べて具体的な目標が見えない子が増えてきた。うちの最大の目的は、殻を破って新しい自分をつくること。それなのに最近は少し躓いただけで、這い上がれない子が多い気がする。“苦しい、悲しい”はやりたくないんだよね。頑張って這い上がれれば、ゴルフに対してもっと前向きになれるんだけどな」
教えないで「気づかせる」
ジャンボほど自身に対する厳しさを体現したプロもいないだろう。
プロ通算113勝を挙げ、12度の賞金王に輝いた。若手の台頭をものともせず、40歳以降に9度の賞金王を獲得した。ほとんどのプロが50歳を節目にシニアツアーに活躍の場を移すなかで、レギュラーツアーで若い世代と対等に競い合う道を選んできた。
55歳でツアー制施行以来の最年長優勝。72歳で出場した2019年の『ダンロップフェニックス』が、今のところ最後の試合となっている。
今後の試合出場の可能性はないのか。ジャンボは笑いながら言った。
「ない、ない。この歳でどうするんだよ(笑)。身体は動かしているけど、若い子の練習量から見れば、鼻くそみたいなもの。諦めたつもりはないけど、健康のために試合に出場するなんていうのはイヤだよね。やれるならナチュラルに勝負しないとね」