無理にすすめるのはよくない(イメージ)
学校はもちろん、先の事案のように会社や役所もアルハラだけでなくそれがパワハラやセクハラにつながりかねない。2021年の生命保険会社のアンケートでは飲み会不要派が60%を超えている。他の調査でも60%前後が「不要」と本音のところは嫌な人が多いのだろうが、それはリアルでは違う、という現実もある。
「会社だから我慢するしかないですよ。言ったって『酒飲めない奴、つまんね』でおしまいです。ほんと酒飲めない奴にはこの時期、人権ないですから、転職したって大なり小なり飲み会はあるし、声のでかい側が強いですから」
飲み会大好き側の「飲み会はみんな楽しいはず」「飲み会に出るのは団結力の証」の陰で酒が飲めずにつらい思いをしていた人がいる。飲み会に出たくない人も出ていた、そういう時代が続いてきた。飲み会を苦にしない筆者もあるいは、意識せずともその無自覚な加担者であったのかもしれない。とにかく日本、おおよそ酒に甘いことは事実だ。
時代のアップデートは飲酒にも求められるということか。4月、酒宴を嫌う人々にとっては最悪の時期がまたぞろやってきたのかもしれないが、飲み会大好き側の人々も、そういう苦手な人々もいるという「空気」も考えてみてはどうだろうか。「たかが酒」と思う人が大半かもしれないが、飲めない側や飲みたくない側に立ち、飲酒にまつわるハラスメントを改善することもまた、社会のアップデート、前に進む契機のひとつであると思う。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。