東京大学客員研究員で医師の柳澤綾子さん
今回のケースで考えてみましょう。
「すぐ帰ってくるね」
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「ママも早く帰ってきたいから14時に終わったら急いで帰ってくるね。今日と明日は14時までお仕事だけど、明後日はお仕事ないから、学校から帰ったら一緒に公園に行こうか? それともお買い物がいい?」
「大丈夫だよ、先生上手だから注射痛くないよー」
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「針がちくっと刺さるから痛いけれど、すぐ終わるよ。右手がいいかな? 左手がいいかな?」
「今日はお菓子屋さんお休みなんだってー。お店やってないから買えないよ」
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「そうだね、お菓子欲しいね。でもお家にいっぱいあるよ。家に着いたらポップコーンにする? チョコレートにする?」
「日曜日になったら連れてってあげるねー」
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「この動物園は少し遠いところにあって、パパもママもお仕事だからすぐには行けないけれど、次の日曜日にはA動物園かB動物園なら行けるよ。どっちがいいかな?」
このように、子どもの感情に寄り添い、正確な情報を伝えて、子ども自身に選択肢から選ばせることがおすすめです。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
柳澤綾子(やなぎさわ・あやこ)/医師、医学博士。東京大学医学系研究科公衆衛生学客員研究員、国立国際医療研究センター元特任研究員。麻酔科専門医指導医。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。公衆衛生学を 専攻し、社会疫学、医療経済学およびデータサイエンスを専門としている。15年以上臨床現場の最前線に立ちながら、大学等でも研究し、海外医学専門誌(査読付)に論文を投稿。自らも二児の母であり、データに基づく論理的思考と行動を親たちに伝える講演や記事監修、執筆なども行なっている。『世界一受けたい授業』『J-WAVE TOKYO MORNINGRADIO』『VERY web』など、メディア出演、連載記事執筆多数。現在は株式会社Global Evidence Japan代表取締役として、母親目線からの健康と教育への啓発活動も精力的に行っている。著書に『身体を壊す健康法』(Gakken)がある。