『自分で決められる子になる育て方ベスト』(サンマーク出版)より
小さな噓は選択肢で言い換える
小さな噓には「脅しめいたもの」もあります。
「(家族旅行中に)今すぐ兄弟ゲンカやめないと、旅行中止にするよ!」
「散らかしたクレヨン今すぐ片付けないと、全部捨てちゃうよ!」
こうした実行されないであろう脅しめいた発言も、子どもからは噓と判定されます。
これは心理学用語で「ダブルバインド」と呼ばれる現象です。「相反するメッセージの間で板挟みになった相手が、最終的には従わざるを得なくなるコミュニケーションパターン」のことを指します。
子どもにとっては、「どうせ引き返したりしないくせに」「どうせ捨てないくせに」などと感じられてしまうのです。こうなると、親の言うことを信じられなくなり、ひいては「その場さえ取り繕えればいいんだろう」という考えさえも助長させてしまいかねません。
とはいえ、すべての発言に噓がなく、常に正直でいることはなかなか難しいことですし、時間の余裕も忍耐も心の寛容さも必要です。
だからこそ、子どもの前では「自分の発言に責任を持つこと」「誠実さ」を心がけるようにしましょう。
忙しい日々の中、そんなに心を広く保てないという声にお応えして、今日からできる具体策があります。それが、「正しい状況を簡潔に説明し、どんな小さなことでもいいから子どもに選択肢を与え、選ばせること」です。
先ほどの共同研究を行ったセトー博士は、子どもに対して次のように接することを推奨しています。
(1)子どもの感情に寄り添って理解や共感を示す
(2)問題を共有し、一緒に解決策を探す
(3)選択肢を提示し、選択させる
(3)の選択肢はどんなに小さなことでも構いません。例えば、帰り道で信号が変わったら歩き出すときの一歩目を右足にするか、左足にするかのようなレベルのものでもいいのです。