世界三大珍味の残り2つは?
香りも全く異なるという。
「トリュフと聞くと、鼻腔をくすぐる独特の芳醇な香りを想像すると思いますが、国内で採れる黒トリュフは、少しツンと来る磯のような香りです。例えるならば、『海苔の佃煮』のような香りと言えます」(折原さん)
今回、高尾山で発見されたトリュフは、欧州産トリュフとは別物のようだ。それでも、高尾山を始め都内でも多くのトリュフが自生されているのなら、レアな高級食材を狙った“トリュフハンター”が現れてもおかしくはない。
「土壌が掘り返され、酷く荒らされてしまうと、トリュフは生えなくなります。それどころか、高尾山は関東屈指の高い生物多様性をもつ山で、ここでしか見つかっていない貴重な地下生菌もいっぱい分布しているんです。今回の発見をきっかけに国産トリュフが脚光を浴びるのは嬉しいですが、“ハンター”たちによって生態系が壊されてしまうような事態は避けたいですね」(折原さん)
前出の広報担当者も、念を押す。
「高尾山一帯は『明治の森高尾』として国定公園に指定されていますので、動物も植物も捕獲、採集は禁止されています。高尾山の豊かさを知っていただくためにトリュフの発見を報告しましたが、どうか温かく見守っていただくようお願いいたします」
突然降って湧いた“高尾山トリュフフィーバー”だが、まだ見ぬ自然と生命の奥深さに感嘆するだけで、そっとしておくのが良さそうだ。