スポーツ

五輪選手スタッフが「お礼」をSNSに投稿したら誹謗中傷から炎上 選手を労う空気が一変「攻撃的なコメントが相次いだ」

柔道女子52キロ級2回戦でウズベキスタンの選手に一本負けし、一礼する阿部詩。SNSを通じて誹謗中傷が相次いだ(時事通信フォト)

柔道女子52キロ級2回戦でウズベキスタンの選手に一本負けし、一礼する阿部詩。SNSを通じて誹謗中傷が相次いだ(時事通信フォト)

 ネットの、とくにSNSでの誹謗中傷はたびたび社会問題として注目を集め、対策や対処法について議論になるが、いまだ有効な方策は見えないままだ。そんな状態で始まり、閉幕したパリ五輪は、組織委員会や選手団、選手やスポンサーなどが今まで以上に多く投稿したSNSを楽しむ五輪でもあった。その一方で、無名の個人アカウントから発信される誹謗中傷の多さにもげんなりさせられる五輪でもあった。ライターの宮添優氏が、五輪代表本人ではなく周囲の関係者が次々と誹謗中傷トラブルに巻き込まれている現実についてレポートする。

 * * *
 過去の五輪と比べてパリ五輪では、SNS上で飛び交った出場選手への誹謗中傷が大きな問題となった。それに対し、日本選手団が大会途中に声明を出すなど、社会問題に発展している。これらの問題は日本だけでなく、世界中が頭を痛めているのだが、五輪という”戦い”の空気に触発されたのか、ネットに不適切投稿を行うユーザーは勝手にヒートアップし、その刃の矛先は、選手以外にも及んでいるようだ。

 陸上競技選手で、パリ五輪の代表選考から惜しくも漏れたAさん(20代)は、ライバル選手の活躍をテレビを通じて応援していた。ライバル選手は惜しくも決勝に進むことができず予選敗退。だが、しのぎを削ったライバル選手の健闘が賞賛に値するものであることは、Aさん自身が一番知っている。帰国したら食事に誘おう、4年後の出場を目指して切磋琢磨しよう…。そんなことを考えていた。

 しかし翌日、自身のSNSのコメント欄で、知らないユーザー達が「口論」になっていることに気がついた。前日に負けたライバル選手の「アンチ」と思われるユーザーが、Aさんの投稿のコメント欄に「弱いライバル選手よりA選手が代表だったらよかった」と書き込み、ライバル選手のファンと思われるユーザーが反論したことがきっかけのようだった。

「私が出ていればメダルが取れていた、ライバル選手は辞退すべきだった等と書いてありました。そんなこと書かれても嬉しくないし、ライバルではあっても、憎み合う関係でもありません。周囲の全く関係のない人に変なこと言われて、いろんな人まで巻き込んで争うなんて見たくない」(Aさん)

 Aさんはすぐコメント欄を閉鎖し、所属チームのコーチや監督に相談。ほとぼりが冷めるまではSNSに触らず、距離を置くことにした。

 とばっちりとしか言いようがない誹謗中傷から始まった炎上を、自身のアカウントで繰り広げられてしまったのは迷惑でしかない。第三者から見たら、滅多にないことだろうから気の毒にと思うしかない。だが、似たようなとばっちりが五輪期間中は激増していた。本人とまったく関係のないところで起きていた誹謗中傷に、いつの間にか自身が巻き込まれてしまうことが珍しくなかったのだ。そして、選手だけでなく、その関係者にも誹謗中傷の影響は及んでいた。

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
「2024年に最もドッキリにかけられたダマされ王」ランキングの王者となったお笑いコンビ「きしたかの」の高野正成さん
《『水ダウ』よりエグい》きしたかの・高野正成が明かす「本当にキレそうだったドッキリ」3000人視聴YouTube生配信で「携帯番号・自宅住所」がガチ流出、電話鳴り止まず
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
(左から)「ガクヅケ」木田さんと「きしたかの」の高野正成さん
《後輩が楽屋泥棒の反響》『水ダウ』“2024年ダマされ王”に輝いたお笑いコンビきしたかの・高野正成が初めて明かした「好感度爆上げドッキリで涙」の意外な真相と代償
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン