男性社員は1日あたり300~500件の配達を担当していた
人手不足で「ブラック職場」状態か
民営化以降、郵便局の現場では人手不足が顕著となり“ブラックな職場”が定着しがちだという。
「昔は、配達先で『お茶を飲んでいきなよ』と言われてゆっくりするような時代でした。しかし現在は、どこも人出が足りず、そのような余裕はありません。配達が終わらないから『昼休みを取れない』『残業(超過勤務)が多い』ということは現場の声としてよく聞きます」
時間指定配達などサービスが便利になった反面、そのあおりが現場を苦しめているという。
「民営化で効率を求めた結果ともいえます。待遇面も良いとはいえず、なり手も少ないし定着もしない。組合もがんばっているようですが、働いている人の雇用形態も正社員や有期の契約社員などさまざまで、なかなか一筋縄にはいかないようです。
このようなことから、西成の郵便局では、郵便物を廃棄した職員はもちろん、その上司など周りの職員にもゆとりがなかったのではないでしょうか」
そして、再発防止のためにこう訴える。
「まずは職員全体に『信書の秘密』『あまねく公平なサービス』を保障する責務があるということを徹底してもらいたい。一方で、経営側にも課題はあります。仕事に使うものが自己負担、休暇が取れない、勤務時間が守れない、配達が終わるまで局に戻れないなどといった労働環境の改善と、社員全体の賃金の底上げが必要です」