国内

「米の直接販売はスーパー価格より高くなる」赤字の米農家を継いだ東大卒イマドキ農家が明かす“価格のカラクリ”とは《一般人が知らないコメ流通事情》

米利休氏の米ブランド「利休宝園」

米利休氏の米ブランド「利休宝園」

 米の価格上昇が止まらない。農林水産省によると、スーパーでの米の平均価格(3月24日~30日)は5キロあたり4206円で最高値を更新。前年同期は2057円で2倍を超えている。消費者としては、少しでも安く米を買いたいのが本音だろう。そこで、「農家から直接買えば安いはず」と考える人は少なくないはずだ。実際はどうなのか。

〈スーパーの価格帯よりも少し高くなってしまう〉

 そうSNSで発信したのは、赤字経営の祖父の米農家を継ぎ、「稼げる」農業を実現するために奮闘する米利休氏だ。個人販売なのに、「スーパーの価格より高くなる意味がわからない」というコメントが寄せられたという。では、なぜスーパーより直接販売の方が、米の価格が高くなってしまうのか。

 米利休氏の著書『東大卒、じいちゃんの田んぼを継ぐ 廃業寸前ギリギリ農家の人生を賭けた挑戦』(KADOKAWA)から、米の価格設定のカラクリについてお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第3回。第1回を読む】

 * * *
 米農家として活動するなかで、消費者の方々になかなか理解されないこともあります。例えばお米の価格。近所の農家さんから直接お米を買う方は、スーパーで買うより農家さんから買った方が安いのが当然と思っていらっしゃるのではないかと思います。例えば、スーパーだと5キロで3000~3500円くらいの品種のものが、農家さんから直接購入すると2000~2500円くらいで買える。そうすると3000円のお米は高いという価値基準になってしまいます。

 でも、例えば5キロ4000円のお米は、茶碗1杯(180グラム)だと70円程度なので、高いと言っても相当安いと思います。調理の手間はかかりますが、パン1個、あるいはコンビニのおにぎり1個と比べても、かなり安いのではないでしょうか。

 生活の観点では、物価の高騰が続いている現代では価格が重要な要素で、より安いものを求めるのは自然な流れでもあるかと思います。しかしながら、日本の農業を守るという観点からいうと、安いだけがすべてではありません。農家の方々の採算が取れることも、ものすごく重要だと思っています。

 2024年、僕は採算が取れる金額で販売することを重視したのですが、その考えでいくと、スーパーの価格帯よりも少し高くなってしまうことをSNSで発信しました。それに対して、「個人で販売するのに、スーパーの価格より高くなる意味がわからない」というコメントをたくさんいただきました。

 農家から買うなら安いというイメージがつきすぎていますが、これにはしっかりと理由があります。個人の農家さんが近所の方に売る分には、販売の手間がかかりません。農協や卸業者よりも高く買ってくれさえすれば、ビジネスとして問題はありません。少なからずプラスにはなるのです。

関連記事

トピックス

WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ(右・Instagramより)
《スクープ》“夢の国のジュンタ”に熱愛発覚! WEST.中間淳太(37)が“激バズダンスお姉さん”と育む真剣交際「“第2の故郷”台湾へも旅行」
NEWSポストセブン
事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト