「厳しい中でも笑いが絶えなかったのを覚えています」(撮影/横田紋子)

「厳しい中でも笑いが絶えなかったのを覚えています」(撮影/横田紋子)

倉田:今、香港で活躍している俳優や監督の中には、Gメンに影響されてこの世界に入った人が結構います。ツイ・ハークやジョン・ウーもファンだったそうで、すごい影響力。香港カラテシリーズでは、僕自身もロケ地や香港俳優の手配をして制作面で協力しました。映画『燃えよドラゴン』で有名になった絶頂期のヤン・スエも出演してくれ、人気につながった。

藤田:沖縄ロケも印象的でした。返還からまだ3年ほどで、車もまだ右側通行。そんな中で米軍兵による少女暴行事件といった社会的テーマに踏み込んだのは、今思えばすごい。おばあさんに「あんたはヤマトンチュか」と聞かれ、沖縄にとって私たちは“外国人”なんだと思い知らされました。

倉田:Gメンが今見ても古臭くないのは、そういう社会問題を正面から扱ったからかもしれないね。人生の非情さや社会の闇にも深く斬り込んでいましたから。

藤田:人生はハッピーエンドばかりじゃないというリアルさの追求が、Gメンの魅力ですね。私の演じた響圭子も、男性と対等に一線で捜査する女性刑事の先駆けで、とてもやりがいを感じました。

「バスストップ」と「死刑実験室」

倉田:一番思い出深いエピソードは?

藤田:「バスストップ」(第13話)かしら。響刑事が唯一恋愛らしい感情を抱く回。メンバー同士の交流すら許さなかった近藤さんは、響にさえ恋を許さなかったんでしょう(笑)。あれはあれでよかったと思っています。倉田さんは?

倉田:のちにレギュラーになられる谷村昌彦さんと共演した「死刑実験室」(第17話)。時効が迫る中で谷村さんが捕まる話で、印象深く、好きでした。

藤田:丹波さんはまさにボスという感じで泰然としていましたね。現場にいるだけで安心感がありました。「俺が来たからもう大丈夫だ」って、遅れてきた時の名台詞でした(笑)。

倉田:台詞を書いた紙をこっそり貼ったり、他の俳優に持たせたり。それでも読んでいるようには見えないんだから、大したものでした。

藤田:Gメンも初回放送から50年も経ったのね。あっという間。

倉田:昔のテレビドラマを観ると「古いな」って感じることもあるけど、Gメンは今観ても新鮮味を感じる。それが不思議。手前味噌だけどね(笑)。

【プロフィール】
倉田保昭(くらた・やすあき)/1946年生まれ、茨城県出身。空手七段の武道家で「和製ドラゴン」と呼ばれるアクション俳優。日本・香港の映画界で活躍中。

藤田三保子(ふじた・みほこ)/1952年生まれ、山口県出身。1974年にNHK朝ドラ『鳩子の海』主演でデビュー。女優・歌手・画家・俳人など多方面で活動している。

インタビュー・対談構成/小野雅彦

※週刊ポスト2025年6月27日・7月4日号

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