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《「三つ子の魂百まで」はウソ?》人の性格を変える“強い意志”と“過酷なライフイベント”とは「性格は柔軟性が高いシステム」「遺伝の影響はさほど強くない」

性格は変化するという(親子のイメージ)

性格は変化するという(親子のイメージ)

「年を取ったら性格は変わらない」「親の性格は子に遺伝する」などといったフレーズを見聞したことはないだろうか。ようするに「性格は自身でコントロールする余地がない」と考えている人は多い。しかし「日本一の文献オタク」の愛称をもつサイエンスジャーナリストの鈴木祐氏は、この言説に異論を唱える。

 鈴木氏曰く「性格は大きく変化する」というのだ。

 鈴木氏はSNS等で受ける他者からの影響を「呪い」とし、科学的な根拠があるのかを検証することで喝破する。本記事では、性格は変わるのか、親の影響を受けるのかという真相に迫る。鈴木氏の近著『社会は、静かにあなたを「呪う」』から一部抜粋して再構成。【全2回の第2回】

 * * *

「性格は死ぬまで変わらない」

 ここ十数年の研究では、私たちの性格が、思ったより簡単に変わることが明らかにされつつある。有名なのはカリフォルニア大学などの調査で、研究チームは約500人の男女を20年にわたって追跡し、歳ごとに性格がどう変わるのかを調べた。その結論は、次のとおりだ。

● 多くの参加者は、20年間で性格が大きく変化した。
● 性格が変わった人の大半は、自分の人生に対する“強い価値観”を持っていた。

 大半の参加者は、20年のあいだに性格が大きく変化していた。外交性が低かった人が年齢とともに社交的になったり、神経質だった人が穏やかでストレスに強くなったりと、周囲が別人かと疑うようなレベルの変化も珍しくなかったというから驚きだ。なかでも顕著な変化がみられたのは、「自分の人生にとって何が大切か?」という価値観を明確に持つ人たちだった。いくつか例を挙げよう。

● 「友人を幸せにする」や「社会に貢献する」といった価値観を持つ人は、歳を重ねるごとに、他人に優しい性格に変化していた。
● 「安定した生活をする」や「仲のよい家族を作る」などの価値観が強い人は、歳ごとにより堅実で勤勉な性格に変わった。
● 「未知の世界を体験する」や「常に挑戦する」という価値観が強い人は、開放性が高まり、柔軟な思考や好奇心がより豊かになっていった。

 この結果に照らせば、人生のなかに自分なりの“芯”を持つことができれば、性格がよい方向に変わっていく可能性は高い。「自分はこう生きたい」という明確な指針を持つことが、性格を形づくる推進力になるわけだ。

 同じような研究は多く、イリノイ大学が2万人以上のデータを精査したメタ分析によれば、特定の心理療法やセラピーを受けた人は、およそ4週間で性格が有意に改善し、その変化は数年にわたって安定し続けたという。

 この効果は性別や年齢の違いとは関係なく誰にでも得られ、「落ち込みやすい性格の人」や「積極的になれない性格の人」ほどメリットを感じやすかったようだ。この分析をもとに、研究チームは「性格は柔軟性が高いシステムであり、生涯にわたって変化させられる」と主張している。

 これらのデータを見れば、やはり「人間の性格は変わる」と言うほかない。心理学のウィリアム・ジェームズが「30歳を過ぎたら人の性格は石膏のように固まる」と言ったのは事実だが、それはもう100年近くも前の話。それから、時代は大きく変わった。

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