『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦

今年はゆったりとした夏を過ごしたという(撮影/藤本和典)

政治のディベートで疎遠になってしまった知人との思い出

最近、学友たちと食事をした時に、政治について議論した。皆ライフステージが変わり、いろんな経験をしたことで、気づいたことも増えた。参院選のことや、こんな政策があったらということまで、幅広く話が弾んだ。

その中で「支持する政党がパートナーと全く違ったらどうする?」というトピックが出てきた。パートナーのことは好きだし、他に嫌いなところはないが、政治的思想だけが違う。政治の話をすると、けんかになる。これを読んでいる皆さんはどうする?

私は高校時代に、超保守的な考えをもつ知人と政治に関するディベートをしてから、疎遠になったことがある。政治的思想の違う彼女と、日本の外交について対立し、まくし立てられ、言い負かされたような気分になった。

私もまだ若かったから、途中で反論するのも理解するのも面倒になって、放棄してしまった。ディベートになっていなかった。そしてその後、私は彼女との関係性も希薄になってしまった。

それから政治について他者と語ることを避けるようになった。余計な摩擦で不快になりたくないし、不仲にもなりたくなかったから。

あれから時が経ち、大人になった今、当時の私と知人に何が足りなかったかを想像する。その答えの一つが、“尊重”だと思う。どちらが正しいとか優れているとかではなく、違いを認めて受け入れる余白があの頃はなかった。

同じ考えである必要はないし、同化しなくていい。自分の考えを押し付けず尊重すること、そして、理解できないからと言って切り捨てず、会話をすること諦めてはいけなかったと省みた。

これはパートナーにも同じことが言えると思う。共に生きていく人と、全く同じ価値観を求めるのではなく、違うことを認め合い、尊重することが共生への第一歩になる気がする。

最近SNS上では、政治について、様々な主張が繰り広げられている。夫婦別姓、同性婚、移民政策、核、憲法……他にも解決しなければならない問題はたくさんあり、いろんな考え方の対立が激化しているように見える。

関心を持つことは素晴らしいことだ。しかしどれだけネット上で白熱したとしても、それが実際の政治に反映されているようにはあまり感じない。いがみ合いや、言い負かしてやりたいという虚栄心では、先に進まない。だから、自分が正しいと押し付けたり傷つけたりするのではなく、互いを理解しようとする気持ちをもって、建設的な会話をしてほしいものだ。

現状をおかしいと思い、変えようとするエネルギーを淘汰に使うのではなく、より良い社会を築くために使ってほしい。そんなことを想ったこの夏の選挙だった。

【プロフィール】
渡邊渚(わたなべ・なぎさ)/1997年生まれ、新潟県出身。2020年に慶大卒業後、フジテレビ入社。『めざましテレビ』『もしもツアーズ』など人気番組を担当するも、2023年に体調不良で休業。2024年8月末で同局を退社した。今後はフリーで活動していく。1月29日に初のフォトエッセイ『透明を満たす』を発売。6月には写真集『水平線』(集英社刊)も発売。渡邊渚アナの連載エッセイ「ひたむきに咲く」が「NEWSポストセブン」より配信中。

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