OLや公務員よりも、「キャバクラ嬢」になりたい若年女性のほうが多い――そんな衝撃的な調査結果を2007年に発表したのは、「下流社会」という言葉を世に定着させるなど、現代社会の有り様に鋭い考察を加えてきた消費社会研究家・三浦展氏だ。同氏が最新の調査結果をもとに「キャバクラ嬢」になりたい女子の傾向を解説する。
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彼女たちは不況下で稼げる職業だから、嫌々ながらもキャバクラ嬢を志向するというのではない。「なりたい」「してみたい」職業としてキャバクラ嬢が挙がっているのだ。それはなぜかと言えば、「キャバクラ嬢」という職業に対する社会の意識が変わってきているのである。
テレビをつければ、キャバクラ嬢を主人公にしたドラマのほか、現役のキャバクラ嬢が出演するバラエティ番組もある。「夜の仕事」のマイナスイメージは払拭され、「テレビに出ている仕事」と認知される。
かつてキャバクラ嬢をしていた過去を公言しても当選する現職国会議員などの存在が、「人生のある期間、事情があって水商売をするのもアリ」という社会の共通認識を示してはいないか。長引く不況下、「生きるためにはある程度何をしてもOK」といった感覚に社会全体として近づいているのかもしれない。
※SAPIO2010年11月24日号