ビジネス

最近人気の毎月分配型ファンドのメリット、デメリット解説

 個人投資家の毎月分配型ファンド(以下、毎月分配型と略す)へのニーズは依然強い。「通貨選択型ファンド」の大ヒットもあり、今や3000本程度ある投資信託の数量ベースで5本に1本、残高ベースでは6割以上を毎月分配型が占めている。根強い人気の背景をリッパージャパンのファンドアナリスト、篠田尚子氏が解説する。

 * * *
 毎月分配型は、しばしばマスメディアでネガティブな評価を受けるが、そこには誤解もある。 最もよく見受けられるのが、インカムゲイン(利息収入)やキャピタルゲイン(運用差益)を分配金として毎月吐き出すため、「利益の再投資による複利効果がない」というものだ。これは誤解であり、複利効果とは、確定利回りである金融商品にのみ期待できる効果であって、確定利回りではない投資信託にはそもそも望めない。
 
 逆に、分配金という形で利益を定期的に投資家に還流することは、リスクを抑制する効果がある。たしかに、利益を再投資することで将来のリターンは大きくなる可能性はあるが、確実ではない。運用動向によっては、得られた利益が減少する可能性もあるからだ。
 
 ただし、毎月分配型は、文字通り、毎月分配金を投資家に支払うため、その都度手数料などのコストがかかる。年1回だけ分配金を支払うファンドに比べれば、コスト面での不利は明らかである。
 
 そうしたコスト面での不利があるにもかかわらず、毎月分配型の人気が続いているのだが、その人気は、定期的にインカムゲインを得たいという個人投資家のニーズの反映だろう。特に、サブプライム・ショックおよびリーマン・ショック以降、利益をこまめに確定させ、確実にインカムゲインを得たいというニーズは強まっているようにみられる。

 加えて、毎月分配型人気の背景には、運用サイドの技術の進歩も見逃せない。「通貨選択型ファンド」はその代表的な商品といえる。
 
 従来の毎月分配型は、国内最大のファンドである『グローバル・ソブリン・オープン』のように、海外の先進国の高利回り(ハイ・イールド)債券を主たる投資対象としてきた。

 外貨建てとなるため、どうしても為替の影響を免れることはできなかった。円安傾向が続けば、為替差益も加わり、安定的な運用と手厚い分配金を出すことができたが、一転円高傾向となれば、分配金は減額され、基準価額も下落することが多かった。

 しかし、通貨選択型ファンドは高利回りを追求するとともに、為替動向が変化すれば、通貨のスイッチング機能などを活用して、対応することができるのである。

※マネーポスト2011年5月号

関連記事

トピックス

海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
政治資金の使途について藤田文武共同代表はどう答えるか(時事通信)
《政治資金で使われた赤坂キャバクラは新規60分4000円》維新・奥下議員が訪れたリーズナブルなキャバの店内は…? 「モダンな内装に個室もなく…」 コロナ5類引き下げ前のタイミング
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
神奈川県藤沢市宮原地区にモスクが建設されることが判明した(左の写真はサンプルです)
《イスラム教モスク建設で大騒動》荒れる神奈川県藤沢市 SNSでは「土葬もされる」と虚偽情報も拡散 市議会には多くの反対陳情が
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
いまだ“会食ゼロ”だという
「働いて働いて…」を地で行く高市早苗首相、首相就任後の生活は“寝ない”“食べない”“電話出ない” 食事や睡眠を削って猛勉強、激ヤセぶりに周囲は心配
女性セブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン