国内

原発作業員 頭頂部被曝で薄毛化心配も「無関係」と言われる

福島第一原発で作業員として働きながら、その実態をリポートするフリーライター・鈴木智彦氏。現場作業員の被曝量はどれほどのものなのか、鈴木氏が初めて福島第一原発の正門前に出向いた後、被曝量測定のために放射線医学研究所に訪れた時の様子をリポートする――。

* * *
汚染検査票を持って放射線医学研究所の建物の奥にある測定スペースに移動した。ここで使っていたのもアロカ社製のGMサーベイメーター(放射能測定装置)だ。男女2人の検査員が、それぞれ2番と10番のテープを貼られたサーベイを手に取り、測定が開始された。

「テープのところにお立ち下さい。バンザイはしなくていいです。自然に手を降ろして下さい。はい行きます。まず10番、バックグラウンド70です。あっ、『気を付け』も駄目です。手は楽にして、普通に下げて」

バックグラウンドとは、自然界を測定したカウント数である。地球上のどこでも、ごくわずかの放射能を帯びているので、これを考慮せずに測定すれば、どんな人間でも被曝していることになってしまう。

鼻、顔、頭頂部、後頭部、喉、両目、胸、背中、腹部、尻、両腕、掌、手の甲、脚、足の裏など、あちこちを測定され、一番高かったのは頭頂部の150カウントだった。バックグラウンドの70を引いても、80カウント被曝している計算だ。知識がほとんどないため、私は一気にテンパった。

「頭頂部が被曝したんですね。ハゲが進むんでしょうか? いや、これはハゲた言い訳にすればいいでしょうね。どっちにしてもハゲ確定ですね」

「ハゲ……ですか。たぶんまったく無関係でしょう」

重苦しいトーンの声を聞いて我に返り、ふと男性係員の頭をみると、彼の頭は私以上にハゲていた。

※週刊ポスト2011年6月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン