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「九電やらせメール事件」に社内で自分の評判上げる方法学ぶ

「大人に必要なことはすべてニュースから学べる」。コラムニスト・石原壮一郎がお届けする今回のテーマは「九電やらせメール」事件から、「阿吽の呼吸」を学ぶ。

* * *

世間を大いに驚かせた九州電力の「やらせメール問題」。いや、多くの人は「まさか天下の九州電力が、そんな卑劣な真似を!」と驚いたわけではありません。「ま、そのぐらいのことはやりかねないな」とは思ったでしょう。

それよりも、この逆風ビュンビュンのタイミングで、バレたら叩かれるのは確実の“やらせメール”を大量に送った度胸と空気の読めなさが、大きな驚きを与えてくれました。

何千人にも送ったら、漏れないわけがありません。そもそもそんなに悪いことだと思っていなかった節もうかがえます。

大人としては、この出来事からどんな教訓を読み取ればいいのか。九電がウカツだったのは、「説明会の進行に応じて、発電再開容認の一国民の立場から、真摯(しんし)にかつ県民の共感を得るような意見や質問を発信」してほしいと、狙いをハッキリ書いたことと、「会社のパソコンでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅等のパソコンからアクセスを御願いいたします」と、やらせの具体的な手口を示唆したこと。

日本には「阿吽の呼吸」という言葉があります。社員や関係者は、会社から「今度、こういう番組があるそうです。しっかり見ましょう」というメールが届いただけで、何を求められているかはわかるはず。

世の中の平均よりかなり高い確率で、「必要性をきちんと伝えなければ」という意欲に燃える人もいるでしょう。九電といえばエリートぞろいのはずなのに、逆風に追いつめられて平常心を忘れ、焦りが顔をのぞかせたようです。

たとえば、よその部署にかわいい女性社員がいて、自分のいい評判を伝えたいとします。その部署の同期に「彼女に対して、オレのことをよく言っておいてくれ。くれぐれもオレが頼んだとは言わないように」と頼む“やらせメール”を送ったとしたら、はたして狙い通りの行動に出てくれるでしょうか。何か言ってくれたとしても、心がこもっていない上にどこか含みがある言い方になりそうです。

「阿吽の呼吸」を信じると同時に、大切なのは相手の自主性を引き出すこと。まずは同期の前で彼女をホメ、そんなかわいい女性社員がいる部署を大いに持ち上げ、さらに同期を思いっきりうらやましがって優越感をくすぐりましょう。そうすれば同期はこちらの意図を察し、自ら進んでこちらのいい評判を彼女の耳に入れてくれるはず。

九電も“やらせメール”を送っているヒマがあったら、番組に対して「この時期に、本当にありがたいです」と大げさに感謝したほうが、ずっと有効だったに違いありません。ま、殿様商売の九電としては、圧力をかける発想しかないかもしれませんけど。

このノウハウは、異動したい部署の上司に自分のいい評判を伝えたいときにも応用できそうです。チャンスがあったら、ぜひお試しください。

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