ライフ

公共の場所で大小便 人間にのみ適用されペットには関係なし

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「散歩中、犬がした糞をそのままにしていく飼い主に迷惑しています」と、以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 犬の散歩の際、犬のした糞をそのままにして立ち去る人がいて、迷惑しています。マナーだけでなく法律違反になると思うのですが、規定ではどのようになっているのでしょうか。都道府県や市の条例もあるようですが、このような場合の規定には、どんなものがあるのでしょうか。

【回答】
 犬の糞は、「汚物又は不要物」ですから、廃棄物処理法の一般廃棄物に該当します。事業者に限らず、個人であっても廃棄物をみだりに捨ててはならず、違反すると処罰されますが、飼い主が始末しなかったとしても、糞をしたのは犬ですから、飼い主が捨てたことになりません。したがって、この法律で取り締まるのは無理です。

 軽犯罪法では街路、公園などで大小便をさせることを禁じていますが、これは人間を対象にしており、飼い主には適用されません。また、動物愛護法第7条1項で飼い主に、「動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」としていますが、努力義務で罰則はありません。

 また、同法第25条1項と施行規則で、多数の飼育動物の糞尿などの放置による臭気で日常生活に著しい支障を及ぼす場合は、周辺住民からの苦情申し出を受けて知事が飼い主に必要措置を勧告し、従わないときは命令し、違反すれば20万円以下の罰金で処罰することになっていますが、道路の糞害には対応していません。このように、法律ではお手上げの状態です。

 一方、各自治体は条例で、動物愛護法に則り、糞害対策を進めています。東京都の例でいえば、「動物の保護及び管理に関する条例」第7条で、動物の飼い主の遵守事項として、「公共の場所並びに他人の土地及び物件を不潔にし、又は損傷させないこと」を定めていますから、糞の始末も飼い主の遵守事項です。しかし、違反しても罰則はありません。

 特別区の扱いもさまざまで、環境美化条例で飼い主に犬の糞の放置を禁じているが、特に制裁がない区、一定の条件下で罰金を科する区、まったく規制がない区など、それぞれ異なります。お住まいの区役所などで確認してください。

※週刊ポスト2011年9月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン