ライフ

渡辺淳一氏 日本の婚姻制度は「男女が幸せになる機会奪う」

このほど『事実婚 新しい愛の形』(集英社)を上梓し、北欧やフランスなど、社会的に事実婚を認めている国の例を紹介しながら、日本人の結婚観や婚姻制度がいかに古く、現代を生きる人たちの実情に合っていないか、を説いた作家・渡辺淳一さん(78)。

いま日本では、若い男女の未婚率が、急激に高まっているといわれる。実際に2010年の国勢調査の結果を見ても、男性は30代後半で30%以上、女性では20%以上が未婚だ。当然、少子化も進む。

こうした原因のひとつが、古さをひきずったままの婚姻制度にある、と渡辺さんは分析する。

「これまでの婚姻の制度は“重すぎる”んです。特に若い男性は、結婚したいと思っても、双方の家や親きょうだい、親戚など巻き込んでの一大イベントになり、人生を左右することになると考えると、気が重くなるんです」

一方、ほとんどの女性は結婚によって姓が変わり、会社や銀行などへ改姓の届け出が必要になり、パスポートも変更しなければならない。また仕事の場では「結婚によって、姓が変わりました」という挨拶もしなければならない。女性にはこうした手続きが、「大変なわずらわしさになるのでは」と渡辺さんは思いやる。

「好きになった男と女が結婚し、幸せになる機会を、こんな制度が奪っていると思うと、残念です」

そういえば、欧米の映画やドラマで見るウエディングシーンでは同僚や友人は大勢登場するが、親の存在というのはきわめて薄い。式そのものも、続くパーティーもとても簡素だ。

現在の憲法では、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とあるので、実はシンプルで、男女は完全に平等なのだ。

姓については、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と民法にあるので、どちらかの苗字に決めなければならない。そして新しい戸籍を作る。これは戸籍法という法律で決められている。

けれども、世界を見渡すと、日本のように婚姻に関する内容を憲法で扱っているというほうが、珍しいそうだ。男女が恋愛をして、性的に結びつくことに、法律や国家が介入すべきことではない、と考えるからだ。

家族や親族のしばり、さらに法律によるしばり。渡辺さんが指摘するように、男性にとっては重く、女性にとってはわずらわしいことだらけといえなくもない。

「だから、好きになった男と女が、もっと気軽に、より自由に、ふたりの話し合いで一緒に暮らし、子供を産み育てることができる事実婚をすすめるんです」

つまり、婚姻届は出さずに同居生活を送る。したがって夫婦別姓である。

※女性セブン2012年1月5・12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
京都成章打線を相手にノーヒットノーランを達成した横浜・松坂大輔
【1998年夏の甲子園決勝】横浜・松坂大輔と投げ合った京都成章・古岡基紀 全試合完投の偉業でも「松坂は同じ星に生まれた投手とは思えなかった」
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》
NEWSポストセブン