ライフ

あくび伝染理由 「今襲われたら危ない」と知らせる防御本能

 誰かがあくびをしているのを見ると、自然と自分もあくびをしてしまうことがよくあるが、これはいったいどういうことなのか?『ホンマでっか!?TV』でお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が脳科学の視点で分析する。以下は澤口氏の解説だ。

 * * *
 今年の夏は暑い日が続きましたが、外気温が高いため、体温調節がうまくできず熱中症になった人も多くいました。「体温」は、脳の温度とも密接に関係しています。体温が高くなり、血液の温度が高くなると、全血液の20%がめぐる脳の温度も高くなってしまいます。

 以前は、脳の温度は一定に保たれていると思われていたのですが、近年、動物実験、ついでヒトでの実験により、脳の温度がプラスマイナス2℃程度変化することが判明しました(これも脳の領域によります)。

 暑いと頭がボーッとするのは、脳の温度が高くなっているせいです。風邪などで高熱を出したときも同じ理由でボーッとします。

 脳の温度を下げる方法はいくつかありますが、無意識にする「あくび」が特効薬です。「あくび」は、ホメオスタシスの働きで、脳への酸素を増やす役割と、脳を冷やす作用を持っていることが近年になってわかってきました。

「あくび」が伝染するのは、「今、みんなの脳の温度が高くなって注意力などの脳機能が低下している。今、敵に襲われたら危ない。だからみんなで脳の温度を下げろ」という、外敵に対する防御(加えて社会的協調性や共感)のためと考えられます。

 ただし、「あくび」で脳の温度を下げるのには限界があります。そんなときは、冷たいものを口に含むのが効果的です。夏場にアイスクリームやかき氷が欲しくなる理由は、その辺にもあるのでしょう。

 さて、私たちの脳や体によく、作業効率が上がる外気温は何度でしょうか?

 答えは、“25℃程度”です。

 本来、夏場もオフィスや勉強部屋などは、25℃くらいにするとよいのですが、屋内と屋外の温度差が大きくなると、体温調節がうまくいかなくなります。そこで、体的にも経済的にも優しい屋内の温度は、28℃程度が適当だといえるのです。

※女性セブン2012年10月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン