国内

がん生存率に根拠なし 人生不良の方が長生きすると医師指摘

国民の2人に1人ががんを患う時代。医学の進歩により、がんを克服したり、がんを抱えながら長生きしたりする事例は無数に溢れているものの、多くのがん患者は「あと何年生きられるのか?」といったネガティブ思考から抜け出せないのが現実だ。

10月に全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)がネット上で公表した「5年生存率」も、一時アクセスしづらくなるほど大きな反響を呼んだ。がん治療を行う31施設から収集した胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの10万症例(2001年~2003年)を生存率で割り出したデータである。

 結果だけを見ると、全症例の3人に2人は5年生存していることになり、「がんは怖くない」との安心材料にもなろう。だが、「あくまで参考程度にしかならない」と話すのは、順天堂大学医学部特任教授の奥村康氏である。

「いまだに日本人の死因はがんが圧倒的に多く、その数は年々増え続けています。がんは治る病気になったと言われる一方で、亡くなる人が減らないのは明らかに矛盾していますよね。結局、このがんにはこの治療法が絶対に効くという正解がありません。だから、次々と発表される『生存率』や『臨床実験』のデータも鵜呑みにできないのです」

例えば、年間約8万人が発症し、6~7万人が死亡している肺がんの5年生存率は平均で40.6%。乳がんの90%と比べれば治りにくいがんであることはうかがえる。しかし、より数値を細かく見ると、施設間で24.8%~58.1%と大きな隔たりがあった。これを「生存率の高い病院は治療水準が高い」と捉えるのは早計だと、奥村氏はいう。

「調査したがん患者の年齢が高ければがん細胞も弱いので生存率は上がりますし、若くても早期に発見されれば治癒率は上がるはずです。でも、いくら最先端の手術と放射線、抗がん剤治療でがん細胞を完全にやっつけても、体を痛めつけ過ぎたために人間が持っている免疫力や自然治癒力を破壊して、後に亡くなられる方だってたくさんいます」(前出・奥村氏)

 5年生存したからといって、誰もが“がんの3大治療”に納得しているとは限らない。ならば、日頃から免疫力を高めて「がんに負けない体」を作ることのほうが先決だと、免疫学の権威である奥村氏は唱える。リンパ球の一種「NK(ナチュラルキラー)細胞」を活性化させることで、あらゆる病気の予防やがん細胞までも遠ざけてしまおうというのだ。

 そんな強力な働きをするNK細胞ゆえに、活性化させるのも容易ではないと構えてしまうのだが、意外にも拍子抜けするほどシンプルな方法でそれが可能になる。

「好きなことをしてストレスフリーになればいいだけ。NK活性の働きを司るのはホルモンで、これは理性ではコントロールできずに感情に支配されます。いつもピリピリ神経質、またはクヨクヨ悲観的なマジメ人間は交感神経が緊張しっ放しでストレスホルモン(コルチゾール)が分泌されます。この状態が長く続くほどNK活性は弱まり、ウイルスにもがん細胞にもつけこまれてしまうのです」(奥村氏)

 では、具体的にどうすればNK細胞を増やすことができるのか。キーワードはずばり“不良”になることだという。

「好きなものを食べて、好きなたばこや酒を嗜んで、好きな友達と他人の悪口でもいいからワイワイ盛り上がってゲラゲラ笑う。NK活性はこれに尽きます。かつてフィンランド政府が行った追跡調査でも、酒やたばこ、塩分を抑制されたグループが後にがんや心臓血管系の病気にかかる人が多く、自殺者まで出ました。片や健康診断さえ受けない不良グループのほうが明るく長生きしたという結果が出ています」(奥村氏)

「健康」「長寿」の鉄則とばかりに、やたらと「~ねばならない」と我慢を強いる世の中。しかし、禁欲の押しつけこそ病魔を呼び寄せる一因になって寿命を縮めると説く奥村氏の理論を聞いて、溜飲を下げる人も少なくないはずだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン