国内

新しい価値や利益を生み出す“ネオ社畜”の道を極めよとの指摘

 企業を信用しなくなった若い世代は組織で働くことを忌避し、日々の仕事に汗する勤め人を「社畜」と馬鹿にする。しかし、人材コンサルタントの常見陽平氏はあえて今「社畜」としての道を極めることが、厳しい時代を勝ち残る術だと喝破する。

 * * *
「社畜」という言葉は字面からしてイメージが非常に悪い。インターネット上を中心に、「会社の家畜(歯車として奴隷のように働く者)」という意味で使われる用語だが、「会社組織にしがみつくだけの馬鹿な奴ら」という侮蔑のニュアンスが含まれる。 

 自分らしさや個性を大事にする若者世代は、社畜に強い嫌悪感を抱く。そしてブームとなったのが、カフェでMac Book Airを開いて仕事をする人々に代表される「ノマド(遊牧民)」というスタイルだ。SAPIO2012年11月号で私は、流行に乗っただけのノマドたちを批判した。

 ただし、「社畜」と「ノマド」の二項対立を深化させてもあまり意味はない。私は現在フリーランスとして生計を立てている。言ってみれば「ノマド」かもしれないが、その基礎は会社員時代に「社畜」として学んだものだ。

 社畜のイメージは、個性を大事にする現代の雰囲気に合致しないかもしれない。しかし社畜でいることにはたくさんの効用がある。だから私は、社畜を評価できるものとして定義し直したいと考える。

 そもそも、本当の社畜は指示されたことをただ黙々とこなせばなれるものではない。真に組織の利益を考える人間は、目の前のタスクと真剣に向き合い、努力を積み重ね、その中で新しい価値を生み出せる存在へと成長していく。

 私はそういった健全な愛社精神を持つ社畜を“ネオ社畜”と呼ぶ。自分が主役でないことを受け入れた上で、エンドユーザーや取引先はもちろん、上司や同僚といった周囲の人に感謝し、期待に応えようとする中で、新しい価値や利益を生み出す存在のことである。「強い社畜」と言ってもいい。

※SAPIO2013年2月号

関連記事

トピックス

競泳コメンテーターとして活躍する岩崎恭子
《五輪の競泳中継から消えた元金メダリスト》岩崎恭子“金髪カツラ”不倫報道でNHKでの仕事が激減も見えてきた「復活の兆し」
NEWSポストセブン
米・フロリダ州で元看護師の女による血の繋がっていない息子に対する性的虐待事件が起きた(Facebookより)
「15歳の連れ子」を誘惑して性交した米国の元看護師の女の犯行 「ホラー映画を見ながら大麻成分を吸引して…」夫が帰宅時に見た最悪の光景とは《フルメイク&黒タートルで出廷》
NEWSポストセブン
メーカーではなく地域の販売会社幹部からの指令だった(写真提供/イメージマート)
《上司命令でSNSへ動画投稿》部下たちから上がる”悲鳴” 住宅販売会社では社長の意向で「ビキニで物件紹介」させられた女性社員も
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」
香川県を訪問された紀子さまと佳子さま(2025年10月2日、撮影/JMPA)
佳子さまが着用した「涼しげな夏振袖」に込められた「母娘、姉妹の絆」 紀子さま、眞子さんのお印が描かれていた
NEWSポストセブン
米倉涼子(時事通信フォト)
《マトリが捜査》米倉涼子に“違法薬物ガサ入れ”報道 かつて体調不良時にはSNSに「ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい」…米倉の身に起きていた“異変”
NEWSポストセブン
きしたかの・高野正成(高野のXより)
《オファー続々》『水ダウ』“ほぼレギュラー“きしたかの・高野 「怒っているけど、実はいい人」で突出した業界人気を獲得 
NEWSポストセブン
迎賓施設「松下真々庵」を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月9日、撮影/JMPA)
《京都ご訪問で注目》佳子さま、身につけた“西陣織バレッタ”は売り切れに クラシカルな赤いワンピースで魅せた“和洋折衷スタイル”
NEWSポストセブン
米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子に“麻薬取締部ガサ入れ”報道》半同棲していた恋人・アルゼンチン人ダンサーは海外に…“諸事情により帰国が延期” 米倉の仕事キャンセル事情の背景を知りうるキーマン
NEWSポストセブン
イギリス人女性2人のスーツケースから合計35kg以上の大麻が見つかり逮捕された(バニスター被告のInstagramより)
《金髪美女コンビがNYからイギリスに大麻35kg密輸》有罪判決後も会員制サイトで過激コンテンツを販売し大炎上、被告らは「私たちの友情は揺るがないわ」
NEWSポストセブン
第79回国民スポーツ大会の閉会式に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
「なんでこれにしたの?」秋篠宮家・佳子さまの“クッキリ服”にネット上で“心配する声”が強まる【国スポで滋賀県ご訪問】
NEWSポストセブン
"殺人グマ”による惨劇が起こってしまった(時事通信フォト)
「頭皮が食われ、頭蓋骨が露出した状態」「遺体のそばで『ウウー』と唸り声」殺人グマが起こした”バラバラ遺体“の惨劇、行政は「”特異な個体”の可能性も視野」《岩手県北上市》
NEWSポストセブン