気象庁が6月末に発表した7月28日までの1か月予報によれば、天気は平年と同様なのだが全国的に高い気温が予測されている。今年は数値目標こそないものの昨年に続き節電が呼びかけられており、頑張りすぎて熱中症にならないよう注意が必要だ。消防庁が配布しているリーフレットでは、喉が渇いたと感じなくてもこまめに水分補給をするようにすすめられている。
さまざまな特徴をもった水があるなかでも、アスリートや芸能人にも愛用者が多い“水素水”がいま、注目を集めている。美容・健康によいときいても、どんなものなのかよくわからない。そこで未来医学財団理事長で生体物理医学者の山野井昇先生に、水素水のアレコレを教えてもらいました。
【質問その1】水素水ってそもそもどんなもの?
山野井先生の答え:「水は、水素と酸素がくっついてできていますが、さらに水素の分子がたっぷり溶け込んでいる水が水素水です。水素は宇宙で最も小さくて軽い元素で、マイナスの電子を持っているのが特徴。地球にも、人体にも水素が多く含まれており、人間の体は水素、酸素、炭素、窒素で96%を占めています。水素の小さな分子が、老化を早めると言われる活性酸素の中で最も酸化力の強い『ヒドロキシルラジカル』を中和するんです」
【質問その2】水素水に種類はあるの?
山野井先生の答え:「天然のものと人工的に作ったものとがあります。天然の水素水は、山に降った雪や雨が伏流水として地下を流れ、何十年、何百年もの年月を経てろ過され、多くのミネラルや水素を含みます。『病気が治った』という伝説が今も残るフランスのルルドの泉やドイツのノルデナウなどの水を調べると、水素がたっぷりと含まれていることがわかりました。
水素は小さくて軽いので、人工的に水に注入してもすぐに抜けてしまうのですが、天然の水素水は長い時間をかけて性質が安定し、中の水素が抜けにくいのが特徴のひとつです」
【質問その3】体の中でどう働くの?
山野井先生の答え:「人間は呼吸をして生きていますが、呼吸によって酸素を吸うと“酸化”が起こり活性酸素になります。活性酸素は体にいい働きもしますが、細胞を傷つけもします。水素が体に入ると、活性酸素とくっついて水になり体の外に排出されます。水素は細胞膜を通り抜けるほど小さく、体の隅々まで行きわたるので、水素水を飲むということは、イメージとしては『細胞レベルで体を洗う』といえるでしょう」
【質問その4】美容や生活習慣病には?
山野井先生の答え:「しわやしみといった目に見える老化は、活性酸素が関係しています。たとえば、肌が紫外線などのストレスを受けると活性酸素が生まれて細胞を傷つけますが、水素を体にとりいれて活性酸素を中和させることで、老化を遅らせることができる可能性があります。
また高血圧や糖尿病などの生活習慣病も、活性酸素が欠陥などを傷つけること、活性酸素がミトコンドリアを傷つけることが関係しており、これも水素を体にとりいれることで、予防ができるのではないかという研究が進んでいます」
天然の水素水は、ルルドの泉のような海外だけのものではない。日本にも湧き出ている場所がある。世界遺産に登録された富士山の伏流水の一部には、豊富な水素が含まれている。大量の汗をかく夏に備え、美容・健康のために天然水素水を試してみる価値がありそうだ。