『医者に殺されない47の心得』(アスコム刊)というなんとも“ショッキング”なタイトルの本が100万部を突破するベストセラーになった。著者で慶應大学医学部放射線科講師の近藤誠さんに、このような本を書いた理由を聞いた。
「日本では、世界トップレベルの医療がリーズナブルに受けられますが、“医療”すなわち医師や病院に対してモヤモヤとした不信感を感じている人が増えてきているのは事実。本書はそんなモヤモヤをはっきり指摘する内容になっているのかもしれませんね」(近藤さん。以下「」内同)
目次には〈「とりあえず病院へ」は、医者の「おいしい」お客様〉〈医者によく行く人ほど、早死にする〉など、今までの医療に対する常識を覆すような言葉が並ぶ。医師をむやみやたらに信じてはいけない時代に、医療とのつきあい方についての再考を迫る書だが、一方で私たちが医療と無関係に生きていくのはなかなか難しいのが現実。近藤さんに、医師の「おいしい」お客様にならずに上手につきあっていく方法を聞いた。
「“患者の目をみない医師はNG”という言葉をよく聞きますが、最近の医師向けセミナーでは、“患者の目をしっかり見て話しましょう”なんて教えられるんです。だから、医師の“態度”で良い、悪いを見分けようとするのは難しい。
患者が毎日100人も来る医師に、人気の秘密を聞くと『診察が終わったら患者に近寄って握手して、耳元でまたおいで、とささやくといい』なんて言うからね(笑い)。確実なのは、診療行為から判断することです」
では、具体的にどう判断すればいいのだろう。一つの基準は「薬は一度に3種類まで」処方する医師だ。
「薬が4種類も5種類もあったらどの薬が効いているのかわからない。例えば鎮痛剤と胃薬を一緒に出す風潮があるけど、胃薬の成分は結構強いんです。だから鎮痛剤をのんだ時に、実際に胃が痛くなった人だけのめばいいと一言いい添えるべき。薬は一度に3種類までで充分と心得ておいたほうがいいですね」
また、病名をつけず「老化現象ですよ」と言ってくれる医師も良い医師だという。
「患者は病名がついたほうがなんとなく安心できるかもしれないけど、病気じゃなくて老化が原因のときだって多いんです。家や車と一緒で、人間もだんだん傷んでくる。たとえば、年をとると血管が硬くなって血圧が少し高くなるんだけど、それを『高血圧なので薬を出しましょう』なんて判断しちゃう医師は全然ダメ。むしろ老化は自然現象なんだから、仲良くつきあっていく方法を考えないとね」
さらには、検査データやレントゲン写真を躊躇なくくれる医師も患者のことを考えている。
「セカンドオピニオンを求めてほかの病院に行く場合、以前の検査データやレントゲン写真があったほうが良い。このときデータや写真の提供を渋る医師はNG。ぼくは今セカンドオピニオンもやっているけど、妥当な治療だなと思うのは1%くらい。でも、今の治療をやめなさいとは言いません。セカンドオピニオンの意義は、治療の選択肢を増やしてあげることだと思っています」
※女性セブン2013年9月19日号