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岡田彰布「無死一塁で相手がバントするほど楽なものはない」

 プロ野球だというのに、やたら送りバントをするなんて笑止千万。いや、確かなバント技術をもっているからこそ、プロ野球のバントは必要だ。いったい、どちらが合理的なのか。決着のつかないこの疑問を、オリックスと阪神で監督を務め2005年には阪神を優勝に導いた岡田彰布氏にぶつけた。

 * * *
 基本的には選手にバントはさせず、打たせるね。理由は現役時代の経験。守っている時に、無死一塁で相手がバントしてくれるほど楽なものはない。アウトカウントが増えるからね。これは相手も同じだから、相手が嫌がる場面でなければ、バントする必要はないんや。

 ただ闇雲に打たせるんやないで。基本的には流れを変えたくないから打たせるわけで、ライト方向を狙わせたり、ヒットエンドランのサインを出したりする。まァ、赤星憲広(元阪神)のように併殺になりづらい選手が打席に立てば、好きに打たせることもあるけどな。

 あと3番、4番にはバントを命じたことはない。そのためにクリーンアップに置いとるんやからね。これも現役時代の話やけど、オレはバントのサインを出されてムッとしたことがあるのよ。日本一になった1985年の巨人戦や。

 腹が立って故意にバントでファウルにしたら、次はヒットエンドランのサインに変わって本塁打を打った。こういう経験も采配に影響しているのかもしれんね。

 もちろん例外はあるよ。野球は1点の積み重ねやから、クリーンアップに勝負強い選手がおればランナーをバントで送るかもしれん。あるいは9回裏に先頭打者が同点のランナーとして出塁したら、さすがに送りバントのサインを出すと思う。ただ、基本的には強攻させるかな。

※週刊ポスト2013年9月20・27日号

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