中国当局が海外メディアに対して、嫌がらせで、記者の駐在ビザを出さないというのはよくある話で、最近ではブルームバーグだけでなく、温家宝・前首相のファミリーが27億ドルの不正蓄財をしていたことをスクープした米ニューヨーク・タイムズ紙も交代の記者のビザが下りず、やはり米ワシントン・ポストも同様だと伝えられる。日本の大手新聞社のなかにも、誤報騒ぎで、特派員の駐在ビザが下りないなどのいやがらせを受けているところもあるようだ。
とはいえ、中国メディアの場合は海外メディアとは比較できないほど、激しい言論抑圧を受けている。逮捕されたり、不当な勾留を受けたりで、場合によっては命に関わるほどだ。香港メディアも同様で、これまで何人もの記者が国家機密詐取罪などで逮捕され、数年間の懲役刑を受けている。
特に、民主化運動の取材や国内の反体制派と接触すると拘束されるケースが多い。これは外国人でも例外ではなく、懲役刑にならなくても国外退去は最低限覚悟しなければならない。
ところで、実際に追放処分にあった記者が匿名を条件に話してくれたことだが、ある記事に関して、情報源を明かすように求められた際、拒否すると、中国側の係官は「分かりました。あなたがとるべき選択肢は3つしかありません。このまま牢獄に行くか。二つ目は3日以内に中国を出る。三つ目は我々のスパイになることです」と迫ったという。
もちろん、彼は中国を出ることを選んだのだが、スパイになって、彼らが満足するような情報を流せば、中国側からスクープを“提供”されることもあり、すっかり当局のスパイになりきった記者もいるという。