――アイドルの場合はコンサートで赤字が出てもCD販売などで補うと言われていますが、プロレスの主な収入源は何になるのでしょうか?
高木:入場収入とグッズですね。DDTはいま、グッズにかなり力を入れています。Tシャツのように基本的な商品も人気ですが、路上プロレスのDVDが主力商品です。後楽園ホールなど普通の会場での試合を収録したDVDよりも人気が高いですよ。
『俺たち文化系プロレスDDT』(太田出版)を出版したときのプロモーションで、書店でサイン会の代わりにリングなしでプロレスをやったのが始まりです。非日常的な演出がとても好評で、それからキャンプ場、浅草の花やしきや工場など、とにかく色々なところでやっています。
不思議なことに、けっこうな数のお客さんが来るんですよ。最近はなるべく直前に告知をして、お客さんが来すぎないようにしています。1ヶ月くらい前に武蔵小金井駅前商店街で路上プロレスをやったときも、4日前告知で平日16時スタートなのに300人ぐらい集まりました。なんでこんなに来るんでしょうか(笑)。
――DDTは会社としてもプロレス興行だけでなく、異業種にも取り組んでいますね。
高木:歌舞伎町に『ドロップキック』というスポーツバーをオープンしたのが最初で、もう6年前になります。引退後の受け皿や、ケガをしたときの生活の保障になるようにと始めました。今では居酒屋、ストレッチのリラクゼーション店を2店舗で合計4店舗を営業中です。プロレス興行会社では、他でやっているところはないんじゃないでしょうか。
――両国国技館から路上まで振り幅が大きいですね。このまま順調に会社が続きそうです。
高木:振り幅はもっと大きくしますよ。DDTという団体は徐々にステップアップする様子を感じてもらうことを大事にしていますから。
2014年以降はさいたまスーパーアリーナ進出を考えています。2万人くらいお客さんが入りますね。ゆくゆくは東京ドームでやりますよ。最終的には、秋葉原のAKB劇場や、東京・名古屋・大阪・札幌に専用劇場を持つ劇団四季のように常打ち会場をつくって、ほぼ毎日プロレスが見られる状況をつくるのが一番、いいんじゃないかなと考えています。
●高木三四郎(たかぎ さんしろう):1970年生まれ。大阪府出身。株式会社DDTプロレスリング代表取締役社長で現役プロレスラー。1995年デビュー、1997年DDTプロレスリング旗揚げに参加、2006年より現職。「文化系プロレス」と形容される、従来のプロレス概念を打ち破るエンターテインメントを表現し続けるプロデューサーでもある。DDTプロレスは1月26日に後楽園ホール大会「Sweet Dreams! 2014」を開催。