国内

除染作業員「何でこんな無駄なことを」の声も業者はボロ儲け

 放射性物質を取り除くための除染作業の予算はどんどん積み増されてきた。2014年度予算案には4924億円が計上され、これまでの総額は1兆8899億円にのぼる。しかし、除染作業は計画通りに進んでおらず、費用の総額は5兆円以上になるとの試算も出ている。

 国は放射線量が年間1ミリシーベルト以下(自然界から受ける放射線量を除く。以下同)にすることを目標に掲げている。この年間1ミリシーベルト以下という目標が合理性の低いものであることは、世界の専門家の常識だ。昨年来日した国際原子力機関(IAEA)専門家チームも「1ミリシーベルトにこだわる必要はない」と述べている。

 にもかかわらず巨額予算が注ぎ込まれる除染とはどのような作業なのか。除染作業員はこう証言する。

「作業は主に3種類あります。1つめは地面の土の表面をスコップで?がして、その土をトンパック(大袋)に入れること。2つめは草刈りや伐採。3つめは洗浄です。家の壁や道路を水で洗う。スピナーと呼ばれる器具で水を吹き付けたり、デッキブラシでこすったりして、使った水は専用の処理機に入れます。屋根の洗浄だけは鳶職がやりますが、それ以外は正直言って誰でもできる作業です」

 そうした単純作業を繰り返して年間1ミリシーベルト以下という目標値を目指していくのだが、「雨が降れば道路や排水溝などは再除染が必要になる」(同前)といったことはざら。つまり1ミリシーベルト以下は“終わりのない旅”なのである。

 そんな無意味な作業を続けるのは、業者と政治家にとって除染が「カネのなる木」だからだ。

 通常、公共事業に長い時間をかけて湯水の如く予算を使えば世論の批判を招く。しかし除染については「放射能は低ければ低いほどいい」「徹底的に取り除くべきだ」と一部世論がむしろ積極的に後押ししてくれる。しかも専門技能を持つ現場作業員を集める必要はない。公共事業が削られ続けた中で、除染事業は“貴重な存在”である。

 別の除染作業員はこんな言い方をする。
 
「作業員はみんな、『なんでこんな無駄なことをしているんだろう?』と感じていますよ。自治体発注の地域は年間数ミリシーベルト程度の低線量地区が多く、除染しているすぐそばで買い物に行く人やジョギングしている人がいます。自分のやっていることに疑問を抱くのは当然です。まあ、それでも日当が1万5000円くらいで普通の土木工事よりはいいのでやっていますが……」

関連記事

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン