さらに、心配の種は韓国のケースだけにとどまらない。昨年3月に中国ではじめて人への感染が確認された「H7N9」型の鳥インフルは、重症患者が後を絶たず今年の1~2月だけでも感染者数は計226人いて、これまでに120人以上が死亡している。
ただ、この数字はあくまで中国当局の発表によるもので、「高熱が出ても病院に行かない中国人は多いため、実際の感染者数は公表数字の数百倍ともいわれている」(中国に詳しいジャーナリスト)との恐ろしい予測が出ている。
「中国の鳥インフルは家族間で人から人に感染するケースが報告され、病院に来ている患者だけでも致死率は3割以上あります。症状としては高熱や咳による肺炎の進行で、急速に呼吸困難となって死に至ります。
今後H7N9がさらに拡大すれば、日本と中国を行き来する日本人が感染する危険も高まるでしょうし、パンデミック(世界的な流行)が起きればその衝撃は季節性の新型インフルエンザの比ではありません。世界の人口が目に見えて減るぐらい死者が出てもおかしくありません」(外岡氏)
安倍首相は熊本の鳥インフル発生確認後もゴルフを続けていたとして問題視されている。外岡氏は「環境省・農水省・厚労省と関係各省の連携が必要な時期なのに、危機意識が足りなすぎる」と警告する。
過去の教訓も生かして国を挙げての情報収集や防疫対策が求められている中、あまりにも日本は鳥インフルエンザに無防備と言わざるを得ない。