横浜DeNAベイスターズが不調から抜け出せない。開幕から負け越しが続き、最下位を独走中だ。今年は前評判も高かっただけに、残念な状況が続いている。スポーツライターがこう話す。
「ある程度は予想できました。正捕手だった鶴岡一成が、FA(フリーエージェント)移籍した久保康友の人的補償で阪神へ行ってしまった。この穴が大きすぎる。
鶴岡はリードや打撃だけでなく、投手はもちろん、チーム全体を元気よく鼓舞していた。若手投手を引っ張っていたし、欠かせない戦力でした。その鶴岡をプロテクトしない選択は考えられませんでした。
開幕から黒羽根(利規)がマスクを被り、打撃も好調で穴を埋めたかに見えましたが、ケガで戦線離脱。そうなると、2番手捕手があまりにも力不足。支配下登録の捕手が黒羽根含めて5人しかいないのも異常事態。フロントの戦略が理解できません」
もう1人、昨年ファンからもチームメイトにも愛された男がいないのも痛い。
「ナイジャー・モーガンです。チームの調子が悪くても、自分が打てなくても、常に明るく振る舞い、ベンチに活気を与えていた。3割近い数字を残すなどバットでも十分に活躍しましたが、それ以上に貢献度の高い選手だったんです。新加入のバルディリスもいい選手ですが、ムードメーカーとは言いにくいですからね。実際、今年のベンチ内には昨年のような明るさがない。
しかも、鶴岡、モーガンはチームを盛り上げるだけでなく、重要なセンターラインを守る選手だった。その2人が欠けては歯車が噛み合わなくなって、当然です」
6連敗を喫し、借金10となった翌日20日、DeNAナインは、明るさを取り戻すために、モーガンの十八番だった“Tポーズ”をベンチ内で復活させた。すると、昨年のような打線が蘇り、2ケタ得点を奪い、大勝したのは皮肉だった。
DeNAが躍進するためには、今いる選手で、勝てる雰囲気を作っていかなければならないだろう。