2024年の衆院選で躍進した国民民主党は2025年の東京都議会議員選挙、つづく参院選でも大幅に議席を増やした(2025年6月撮影:小川裕夫)
自由民主党の高市早苗総裁が日本の憲政史上初の女性首相となったが、その一週間前までは、政権交代が起きて国民民主党の玉木雄一郎代表が首相になるのではないかと大きな注目を集めていた。ところが、玉木氏の煮え切らない言動に、盛りあがっていた雰囲気は少しずつしぼみはじめ、落胆に変わっていった。政治と選挙の取材を続けるライターの小川裕夫氏が、玉木雄一郎内閣はなぜ幻に終わったのかについて分析する。
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2025年10月21日、臨時国会が開かれて第104代首相に高市早苗氏が選出された。
一年前、2024年10月に投開票された第50回衆議院議員総選挙で、自民党は連立を組んでいた公明党と合わせても過半数に届かず、翌2025年7月に実施された第27回参議院議員選挙でも自公は惨敗。衆参で過半数を割る少数与党政権という異例の事態から、永田町は空前絶後の混乱が始まった。
政界の大きな変化を象徴するのが、10月10日に明らかになった、26年間にわたって続いてきた自民党・公明党の連立解消だ。公明党は高市総裁と協議し、多くの部分で政策が異なるとして連立を離脱した。
早かった「玉木雄一郎代表に首班指名を一本化」呼びかけ
そもそも自民党と公明党とは掲げる政策も基本理念も大きく違う。それでも互いに政策を擦り合わせながら、四半世紀以上も協力関係を維持してきた。その背景には選挙でwin-winの関係を築くという暗黙の了解がある。2党の協力はもちろん、政権与党を維持することが大きな理由のひとつだ。とはいえ、与党の地位が危うくなったら簡単に縁を切るというようなものではない。2009年の衆院選で自公は政権を明け渡したが、それでも野党として共に手を取り合ってきた。
そんな間柄にある公明党が連立を離脱したことで、自民党は衆議院でも参議院でも、単独では過半数を得ていない現実と直面せざるを得なくなった。最初の大きな壁は、今回の首班指名選挙だった。
これを政権奪回のチャンスと見た立憲民主党(立憲)・国民民主党(国民)・日本維新の会(維新)は、野党が大同団結することで非自民党政権の樹立を視野に入れた。
