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尖閣侵略時の自衛隊出動は集団的自衛権ではなく個別的自衛権

 昨今議論されている「集団的自衛権行使」とは具体的にどのような状態を指すのか。「尖閣侵略」が発生した場合に起こるケースを、防衛専門家たちの協力をもとにシミュレーションしてみよう。

 緊張状態が続く尖閣諸島に、中国が侵略を仕掛けてきた場合、自衛隊が出動する。島嶼(とうしょ)防衛である。しかし、軍事ジャーナリストの井上和彦氏は、「集団的自衛権とは直接関係しない」と指摘する。
 
「尖閣諸島は日本の領土なので、国土防衛のために自衛隊が出動する。これは集団的自衛権ではなく、現在の憲法解釈で認められている個別の自衛権になります」
 
 米国のオバマ大統領は尖閣諸島の防衛について、「日米安保条約の適用対象になる」と表明した。日米安保条約に従って自衛隊とともに中国軍と戦う用意があるということだ。米軍が自衛隊と共同で行動を取る場合、集団的自衛権が必要となるという。
 
「自衛隊の近くで米軍が中国から攻撃を受けた場合でも、現状では自衛隊は米軍を助けに行けない。しかし、集団的自衛権行使が容認されれば、助けに行くことができるようになる。憲法解釈の変更で変わるのはこの点です」(井上氏)
 
 ただし、そのとき日本はすでに中国と交戦状態に入っている。ならば、米軍が攻撃を受けているかどうかに関係なく、侵攻してきた中国軍を個別的自衛権で攻撃できる。現行の憲法解釈で、「米軍を守ったのではなく、中国の侵攻を排除した」という考え方をとることも考えられるのではないか。

※週刊ポスト2014年6月6日号

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