スポーツ

コロンビア戦で無口になった松木安太郎氏 国民の心情代弁か

 サッカーW杯ブラジル大会のグループリーグ3戦目のコロンビア戦で1対4の大敗を喫し、2大会ぶりのグループリーグ敗退に終わった日本代表。悔いの残る結果となったが、同試合中継(テレビ朝日系)の解説を担当したのが、日本代表戦ですっかりお馴染みとなったサッカー解説者・松木安太郎氏である。

 かつては松木氏の絶叫解説に対し、「うるさい」「居酒屋のオヤジか」など否定的な意見も多く見られたが、近年は評価が変わりつつある。「代表戦は松木さんの解説じゃないと物足りない」という信者も増加しているとか。今回のコロンビア戦での解説はどうだったのか。これまで松木氏の解説を観続けてきたサッカー担当記者が語る。

「コロンビアに3点目を取られたあと、一気に松木さんの話す回数が減りました。『絶対にあきらめちゃいかん!』が口癖であり、残り数分になっても、『まだ時間はたっぷりあります』と言い続け、常に日本を鼓舞してきた男が無口になってしまった。

 ここに、松木さんの人気の秘密が隠されているのではないでしょうか。つまり、松木さんは日本人の心情そのものなんです。エリア内で倒されれば、すぐに『PK! PK! PK!』とアピールし、日本の選手が危険なプレーに見舞われれば『おい! おい! おい!』と叫ぶ。相手にPKを取られた後は、『止めろよ、川島(永嗣)!』と声援を送っていました。視聴者としては『よく言ってくれた!』『俺もそう思う!』と共感できたはずです。

 それと同じように、コロンビアに3点目を取られた時点で、ほとんどの視聴者が『もうダメだ』と思ったはずです。テレビ局サイドとしては、『それでも盛り上げて欲しい』と考えるでしょうけど、松木さんは黙ってしまった。要するに、松木さんは常に本心でしゃべっている。そのことが、今回改めて証明されました」

 近年、テレビ離れが進んでいると指摘される背景の一つに、視聴者感覚との乖離が挙げられているが、松木氏は視聴者と一体になる珍しい存在なのだという。前出の記者が続ける。

「2004年のアジア杯準々決勝、PK戦にもつれ込んだ時には、ピッチの状態が悪いこともあり、日本は三都主アレサンドロ、中村俊輔と連続で外し、0-2と絶望的な状況に追い込まれました。完全に敗戦ムードが漂う中、松木さんだけは『絶対にあきらめちゃいかん!』と鼓舞し続け、日本は本当に逆転したんです。あのとき、勝利を信じていた日本人は松木さんとキーパーの川口能活だけでしょう。このころから、松木さん信者が徐々に増え始めました。

 2011年のアジア杯では、勝っている場面で、あまりに長いロスタイム(6分)を取られたときに、『ふざけたロスタイムですねえ~』と言い放った。この言葉もやはり、松木さんならでは、と言えるでしょう。

 誰もが心の底では思っているけど、出てこない言葉を的確に表現する。コロンビア戦の展開では、松木さんの良さを出しづらかったと思いますが、これからも、代表戦に松木さんは欠かせないと十分に証明した試合となったのではないでしょうか」

関連キーワード

関連記事

トピックス

お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二。9ヶ月ぶりにメディアに口を開いた
【休養前よりも太ってしまった】元ジャンポケ斉藤慎二を独占直撃「自分と関わるとマイナスになる…」「休みが長かった」など本音を吐露
NEWSポストセブン
約40年、地元で愛された店がラーメンをやめる(写真提供/イメージマート)
《SNS投稿やグルメサイトの弊害》あっという間に人気飲食店になったことを嘆く店の人たち 問い合わせが殺到した中華料理店は電話を撤去、行列ができたラーメン店は閉店を決めた 
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《TOKIO解散後の生活》国分太一「後輩と割り勘」「レシート一枚から保管」の節約志向 活動休止後も安泰の“5億円豪邸”
NEWSポストセブン
大谷翔平の新投球スタイルを分析(Getty Images)
《二刀流復活》進化する“投手・大谷翔平” 「ノーワインドアップ」と「シンカーボーラーへの移行」の新スタイルを分析
週刊ポスト
中山美穂さんをスカウトした所属事務所「ビッグアップル」創設社長の山中則男氏が思いを綴る
《中山美穂さん14歳時の「スケジュール帳」を発見》“芸能界の父”が激白 一夜にしてトップアイドルとなった「1985年の手帳」に直筆で記された家族メモ
NEWSポストセブン
結婚式は6月26日に始まり3日間行われた(時事通信フォト)
《総額72億円》Amazon創始者ジェフ・ベゾス氏の豪華結婚式、開催地ベネチア住人は「億万長者の遊び場に…」と反発も「朝食17万円、プライベートジェット100機貸し切り」で市長は歓迎
NEWSポストセブン
藤川監督(左)の直訴を金田氏(右)が存命であればどう評したか
阪神・藤川球児監督の「練習着にハーフパンツ着用」直訴で思い出される400勝投手・金田正一さんの言葉「大投手になりたければふくらはぎを冷やしたらアカン」
NEWSポストセブン
「札幌のギャグ男」公式インスタグラムより
《特別支援学級編入を決断した当事者の声》「小3の知能で止まっている」と宣告された中学1年生が抱えた“複雑な思い”「母さんを楽にしてやれるって思ったんだ」
NEWSポストセブン
STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOを退任することがわかった井ノ原快彦
《STARTO社取締役を退任》井ノ原快彦、国分太一の“コンプラ違反”に悲しみ…ジャニー喜多川氏の「家族葬」では一緒に司会
NEWSポストセブン
仲睦まじげにラブホテルへ入っていく鹿田松男・大阪府議(左)と女性
石破“側近”大阪府連幹部の府議、本会議前に“軽自動車で45分ラブホ不倫” 直撃には「知らん」「僕と違う」の一点張り
週刊ポスト
国民民主党から公認を取り消された山尾志桜里氏の去就が注目されている(時事通信フォト)
「国政に再挑戦する意志に変わりはございません」山尾志桜里氏が国民民主と“怒りの完全決別”《榛葉幹事長からの政策顧問就任打診は「お断り申し上げました」》
NEWSポストセブン
中居正広氏と被害女性の関係性を理解するうえで重大な“証拠”を独占入手
【スクープ入手】中居正広氏と被害女性との“事案後のメール”公開 中居氏の「嫌な思いをさせちゃったね。ごめんなさい」の返事が明らかに
週刊ポスト