頑固な夫がある瞬間、妻の理解者に変わる。妻のために、思いやりをもって温かい一杯のお茶を淹れてあげる。そんなことって、果たして、現実に起こりうるでしょうか?
「奇跡」に近くありませんか?
長い時間の中でできあがってきた自分自身の性格を、ちょっとしたきっかけで変えることなんて本当にできるでしょうか?
よほどの大事件に遭遇し価値観が大転換したり、生死をかけた出来事を通して相手の存在を再確認するのでもなければ、なかなかありえないことでは。しかし、このドラマではその変化が短時間で起こってしまう。
日常の中から気付きを見つける程度で、人は根底から変われるものなのかどうか。ドラマを見ながら基本的な疑問が湧いてきてしまう。
フィクションだからしょうがない。限られた時間の中だからしょうがない。それはわかっています。でも、限られたドラマの時間の中でいかにそのあたり上手に処理できるのか、「なるほどそういう奇跡もありうるな」と視聴者を納得させられるかが、このドラマの「肝」になるのでは。
もちろん、新しい世界の幕開けを感じさせてくれる完成度の高いこのドラマに、大きな期待を抱いているからこそ、の辛口エールです。いずれにせよ中高年を描く最大のドラマツルギーが、「夫婦関係の変化と転換」に潜んでいることは間違いないでしょう。
番組紹介には〈再就職、ペットの死、老いてからの婚活、老いらくの恋、親友との別れ……。果たして、人生の「再出発」は可能なのか?〉とあります。第3話は「婚活」ですか。期待しましょう。