実際、「産めないのか」発言はあったのか。議場にいた都議に聞くと、「騒がしかったのは事実だが、どんなヤジが飛んでいたのかはわからなかった。でも、演壇が一番音を拾うから、”塩村都議には”聞こえていたのではないか」(東京・生活者ネットワーク幹事長・西崎光子議員)
「うちでも聞いている議員はいないけど、演壇はよく聞こえるから、”塩村議員は”聞いたのでしょう」(共産党幹事長・大山とも子議員)と、根拠となるのは「塩村氏の耳」だけなのだ。
「“産めないのか”という野次はどの音声データでも確認できない。ただ、あるテレビ局の音声データでは“自分が産んでから”という野次は確認できたとされている。その言葉を塩村さんが“産めないのか”と自分の中で翻訳した可能性もある」(ある都議会議員)
威勢が良かった塩村氏の発言もブレてきた。24日に行なわれた記者会見ではこう語った。
「女性蔑視としか思えないような発言がいくつか耳にも入ってきた気もします」
だがこの時、「把握した」が「気もする」に変わったことを質す記者はいなかった。
さらに25日に行なわれた囲み取材では「産めないのか」の根拠について質問され、「一部のニュースのなかで音が拾えてまして、テロップつきで流れてますし」と、根拠をテレビのテロップだと答えた。「把握した」という当初の説明を自ら否定したのである。
本誌も音声データを入手し確認した。何度聞いても、「産めないのか」はまったく確認できず、また「自分が……」という言葉についてもかすかに聞こえる気もするが「産んでから」の判別はできなかった。
※週刊ポスト2014年7月11日号