ただし、そのような仕事は速い人と遅い人がいる。つまり、生産性の違いが非常に大きい。たとえば売掛金の回収は、上手な人と下手な人だと極端な場合は所要時間に2倍も3倍も差が出てくる。だから、そういう仕事については「残業代+成果給」にしなければならない。でないと、昼間はサボって、そのぶん残業代を稼ごうとする不心得(ふこころえ)者が跋扈(ばっこ)するからだ。
ブルーカラー的ホワイトカラーの仕事の大部分はオフショアリングなどで、途上国に移っていく時代になっている。したがって、ここで日本企業は「ホワイトカラーの仕事」を定義し直し、海外に持っていける仕事と持っていけない仕事を明確に仕分けしなければならない。
その作業をしないまま「年収1000万円以上の専門職」は残業代をゼロにするという単純な線引きをするのは、日本のホワイトカラーの実態を全くわかっていないということだ。
※週刊ポスト2014年7月11日号