いくら支援が豊かでも、広大な中国本土では普及が進まない。そこで現在、トヨタが注力し、普及を期待するのが充電設備のいらないHVである。
ただし、「まだまだ理解が進んでいない。EVのように充電が必要と考えている人は中国にはたくさんいる」とトヨタ幹部はいう。そこで、2012年3月からトヨタは中国で「雲動計画」というHVを一般の人々に理解してもらうためのキャンペーンに着手した。
HV用電池も、江蘇省常熟市に建設した新工場で現地生産される。現地で組み立てることで関税は下がり、HVの低価格化も進む。普及が進めば、補助金などHVの優遇が中央でも地方でも広がることも将来的には期待される。
中国では乗用車を対象に、メーカー別の燃費規制が2015年から始まるとみられる。一企業が販売する車の平均で課徴金が課せられるという。平均値を下げられるHVがあることは、トヨタにとっては有利に働く。
長期の苦戦を強いられている中国戦線に、大きな風が吹きつつある。1980年代の遺恨を払拭するときが近づいてきた。
※SAPIO2014年8月号