今年1月からNISA(少額投資非課税制度)導入されたことを受けて投資信託市場は新規の資金流入が大幅に増え過去最高額に迫る勢いとなっている。しかし、その多くは毎月分配型のタイプというのが実情だ。そこに潜む問題は何か、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。
* * *
2014年上半期の投資信託市場は、新規資金の流入が途切れることなく、拡大の一途をたどった。その結果、6月末時点の国内追加型株式投信(ETFを除く)の純資産残高は57兆9000億円となり、2007年のリーマンショック前の過去最高額まであと一歩というところまで増加している。
この背景には、やはりNISAのスタートがある。金融庁によると、3月末時点のNISA口座数は約650万となり、投資総額は1兆円を突破したという。そのうち投資信託市場には6000億円以上が流入した模様。上半期の純設定額(=設定額-解約額)は2兆6425億円だったので、3月末の時点でNISAからの投資額は純設定額の約4分の1に達していたと考えられる。
では、どんなファンドが売れたのだろうか。上半期に売れたファンドをみると、「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型」の“独り勝ち”といえる。4886億円を集め、7月中旬時点では、残高は1兆円を超えている。世界各国のインフラ関連企業の株式を主要な投資対象とした通貨選択型のファンドで、最大の魅力は分配金の高さ。
米ドルコース・毎月分配型を選択した場合、毎月の分配金は250円に達する。8月中旬の基準価額は、1万3000円程度なので、年間の分配金の合計金額を単純に基準価額で割った分配金利回りは、なんと23%になる計算だ。
このほか、ベストテンにランクインしたファンドを見ると、海外の利回りの高いハイイールド債券や、海外の不動産投信であるREIT(リート)に投資をする毎月分配型ファンドが占めていることがわかる。