表面化したのがテレビ朝日の『朝まで生テレビ!』(11月29日放送)のゲスト出演拒否事件だ。選挙をテーマに討論したが、同局は出演予定だった評論家の荻上チキ氏、小島慶子氏らのゲストに「質問が特定の党に偏る可能性などがある」と伝えてキャンセルした。
出演拒否の理由まで「萩生田文書」そのままであることを見ると、効果は絶大だったのだ。
安倍晋三首相は「アベノミクスの是非」を選挙の争点に掲げている。そうであれば政権与党に質問や批判が集中するのは当然であり、報道の公平中立を脅かすことにはならない。そもそも総選挙は「政権」に対する有権者の審判を問うものだ。
それを承知で言論を封殺した安倍親衛隊の行動は民主主義の否定であり、権力の圧力に屈したテレビ局も国民を裏切ったことになる。
安倍首相は批判を封じさせておきながら、各局に単独出演して「アベノミクスで賃金は上がっている」とウソを並べて自己アピールに努めた。萩生田文書に従うなら、各局は他党の党首も同じだけ出演させなければならないはずではないか。自分の主張は言いたい放題で、批判は封殺する。それを「言論ファッショ」という。
※週刊ポスト2014年12月19日号