黒田:このたび上梓された先生の本には、「韓国人が日本に打ち勝つためには力を養うべきであり、無駄な反日行動はやめるべき」との批判があります。
柳:残念ながら、現在の韓国がさまざまな面で日本に劣っているのは厳然たる事実です。韓国人はそれを認めて客観的、合理的に日本を見る必要がある。幼稚で無駄な反日行動をする暇があるなら、己を磨き日本と堂々と渡り合えるようにすれば良い。そのように考えています。
黒田:韓国で先生のように声を上げるのは、とても勇気のいることだと思いますし、それがどれほど難しいことかもよく理解できます。ただ、せっかく声を上げても、社会にそれが反映されない。私は、大使館前のデモや慰安婦像設置は国際的にも違法だと思うのですが、放置されたままで誰も批判しようとしない。韓国人は自らを振り返るバランス感覚がないのです。
■黒田勝弘【PROFILE】1941年生まれ。京都大学卒業。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長を経て産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『韓国反日感情の正体』(角川学芸出版刊)など多数。
■柳舜夏【PROFILE】1943年京都府生まれ。戦後、韓国に帰国。純文学の作家として長年にわたり韓国文壇で活躍する。1980年に「韓国文学新人賞」を、1989年に「第1回怡山文学賞」(日本の泉鏡花賞に相当)を受賞。韓国きっての保守論客としても知名度が高い。
■取材協力/河鐘基(ジャーナリスト)
※SAPIO2015年1月号