黒田:朴大統領も「加害者と被害者の立場は1000年経っても変わらない」という発言をしましたね。
柳:朴大統領は就任当初からレームダック(死に体)に陥りました。そのため国民に聞こえの良い発言をしたのですが、それが世界的に拡散し物議を呼んでしまった。あれはとても愚かな行為でした。朴大統領だけではなく、彼女を取り巻く人々も含めてです。
黒田:先生が本に込めた趣旨は「克日」の精神だと思います。韓国で1980年代に生まれた克日はすでに多くの面で達成されたと考えますが、日本を非難する傾向は逆に強まっている。自信過剰な愛国になっているようにみえます。日本の嫌韓現象は、韓国の反日に対する反発でもあるので、そうした意味では韓国人にも自制をお願いしたいですね。
柳:私は黒田さんと同世代ですし、共有できる観点も多い。今後も韓国に愛情を持って、積極的かつ辛辣な批判をしてもらえればと思います。
■黒田勝弘【PROFILE】1941年生まれ。京都大学卒業。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長を経て産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『韓国反日感情の正体』(角川学芸出版刊)など多数。
■柳舜夏【PROFILE】1943年京都府生まれ。戦後、韓国に帰国。純文学の作家として長年にわたり韓国文壇で活躍する。1980年に「韓国文学新人賞」を、1989年に「第1回怡山文学賞」(日本の泉鏡花賞に相当)を受賞。韓国きっての保守論客としても知名度が高い。
■取材協力/河鐘基(ジャーナリスト)
※SAPIO2015年1月号