よく噂される「政府の都合に合わせて数字を作っているんじゃないか」という問題はどうか。たとえば増税するには好景気のほうがいい。

 だが、それもなさそうだ。たとえば昨年7~9月期の2次速報は下方修正された。その時点で増税先送りは決まっていたのだから、数字は上方修正されてもおかしくなかった。ちなみに、この時も上方修正とみたエコノミストの予想は大ハズレだった。

 エコノミストが促成栽培になっている問題もある。

「昔は調査部門に配属されると家計部門を1年、企業部門を1年とか勉強期間がありました。でも、いまはそんな余裕がない。調査部門は儲ける部署じゃないですから。政府と同じ膨大な量の作業なんて、とてもできません」

 それで商売になるのか、と素朴な疑問が湧いてくるが、顧客も「どうせ外れる」と割り切っているのだろう。

 ここで私の景気予想法も公開しよう。それは毎年、各地で開かれる新春賀詞交歓会など会合の集まり具合だ。年初の会合がにぎわっているなら、その年の景気はいい。昨年は良かったのに、4月増税で台なしになってしまった。

 だが年末を底に、盛り返しつつある。茨城県つくば市のある寿司店主は「今年はいいんじゃないですか。元日から3日までの売り上げは前年比15%増でしたよ」と言っていた。私はエコノミストより、こんなリアルタイムの街角景気を信頼する。

■文・長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ):東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)

※週刊ポスト2015年3月6日号

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