風刺画を掲載することで知られるフランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃に端を発したテロは、言論の自由への挑戦だと激しく非難され、1月11日にはフランス各地で犠牲者を悼むための大行進が実施された。その数は全国で370万人、160万人を超えたパリでの行進には欧州主要国首脳だけでなくトルコとイスラエル首相、パレスチナ自治政府大統領も参加した。この大行進の水面下では、各国間で行なわれていた激しい駆け引きについてジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。
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事件の舞台となった仏・パリはもちろんのこと、まさに全世界に大きな衝撃をもたらすこととなった、風刺専門紙「シャルリー・エブド」などに対する銃撃テロ事件。イスラム国の強い影響力下にあるテログループが犯行に及んだことはまず間違いないのだが、「今に至るも事件の全容解明にはまだほど遠い状況」(フランス内務省国家警察総局関係者)なのが実情だ。
そうした中、フランスの情報機関が密かに注目しているのが、事件前後の状況だ。日本のメディアはほとんど報道していないが、ちょうど事件前日(1月6日)、イスラエル政府にとってまさに衝撃的なでき事が起こった。
そのでき事とは、パレスティナ自治政府のICC(国際刑事裁判所)への加盟申請が、国連の潘基文事務総長によって受理されたことを指す。このことによってパレスティナのICCへの加盟は、ほぼ確実になった。
「イスラエルにとっては、まさに最悪とも言える事態でしょう。なぜなら昨年夏の51日間におよぶイスラエル軍のガサ地区への軍事行動が、戦争犯罪としてICCで審理される可能性が出てきたからです。まさにネタニヤフ首相にとっては悪夢でしょう」(前述のフランス内務省関係者)